2023-03-10

夢の中で出会った知らない子に恋をする。

目が覚めた後も頭から離れなくて、素晴らしい時間だったと数秒前を懐かしむ。そしてすぐさま、ああ夢だったのか、と思う。それは決して空想出来事に過ぎなかったという虚しさなどではなく、もう二度と彼女に会えない悲しさだ。

夢のような時間は夢そのものから、すぐさま儚く散ってしまう。相手の顔も名前も思い出せないけれど、私達の過ごした思い出を書き留めずにはいられない。

フィクションのように劇的で、そして現実の恋と同じく主人公私自身だった。不条理で突拍子もなく走るのもままならない夢の世界で、私達は懸命に生きていた。

昨晩の私は女形スターだった。ファン関係者のしがらみを、何か支離滅裂な会話でやり過ごしていた。荒廃したタワーマンションが立ち並び、軍人警察闊歩する地元駅前で、ドラえもんタイムマシンのような車で恋人が待ちぼうけていた。大分待たせてしまったが、それでも彼女は私が来た事を喜んでくれた。

普段なら有り得ない状況なので言葉に起こすのも難しく、すぐさま散っていく記憶の一部しか書き留められない。それでも時々読み返してみる。すると頭の中で映像が浮かんできて、その時その瞬間に抱いた気持ちが蘇る。よく聴く音楽には、その時々のムードが鮮明に閉じ込められているように。

毎度別な子と会う私の頭の節操のなさを少し恥じながら、もう二度と会えない彼女達を想う。

夢を書き留めるのはあまり良くないという。こんな事をしていると統合失調症か何かに片足を突っ込みそうで不安もあるが、しかしそんな事より、あの素敵な時間を忘れてしまう事が怖い。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん