2022-06-17

バイト日記

 納品された品物の中から予約品を取り分けて保管するというタスクを、超久しぶりに課された。しかも当店では初めてだ。四年前に勤めていた他店では何度かあったのだが。

 オーナーから絶対に予約品の取分け作業を忘れないこと、取分ける商品の種類と個数を間違わないこと、予約品を廃棄品や明朝の品出し品と紛らわしいような置き方をしないこと、とくどくど念を押された。私もそんな取り返しのつかない系の失敗はしたくないので、慎重に作業を行った。

 オーナーは、廃棄品を保存するための籠(よくホムセン洗濯籠として売られている籠のような形状をしている)に予約品を入れるの絶対禁止、番重に入れるのも絶対禁止、と言った。もちろん、廃棄品と後で品出しする品物に見えて紛らわしいからだ。

 夜勤帯の品出しは私がサンドイッチパン類、Aさんが米飯類を担当することにしているので、予約品の取分けも私がサンドイッチ、Aさんが米飯担当する事にした。

 オーナーは、予約をお客様が使う買い物籠に入れるよう私達に指示した。だが、これは私はそうは出来ないと判断した。買い物籠での保管は、特に柔らかいサンドイッチ場合商品の形が崩れるからだ。それで私は、予約品を取り分けてチルド用の番重に入れた。間違いのないよう五、六回確認し、更には番重に「予約品! 廃棄・品出ししないでください!!」とでかでかと書いた紙を貼り、ウォークイン冷蔵庫の中の、明朝品出し分の番重の山とは離れた場所に置いた。そして、事務所の机に早朝勤の二人へ名指しででっかい置き手紙(「○○さんと××さんへ。ウォークインに予約品が入っています絶対廃棄や品出しをしないでください」)を書いて貼った。

 そんな私の様子を、余計なことしやがってと言いたげな冷ややかな目で見ていたAさんだったが、彼は予約品を買い物一つに山盛りに詰め込んで、普段廃棄品が置かれている場所のすぐ隣に無造作に置いていた。

 私が、このタスクに関するオーナー命令の中で「予約品は買い物籠に入れろ」だけはきけないと言った時に、Aさんからからさまに不快を表明されたので、オーナーの言う通りにしたら商品が変形するからだと答えたら、Aさんは舌打ちをしてこれ見よがしに予約用のおにぎりを買い物籠に投げ込んだ。Aさんは「俺が大丈夫だと思ったことは大丈夫だ」と言って譲らない人で、注意すればするほど頑なに我を通すだけだからこちらが何を言っても無駄だ。

 Aさんが買い物籠に入れた予約品を手にとって見ると、上の方に積まれ商品の重みで籠の底の商品が潰れて変形していた。これはまずいと思ったが、直球で非を詰ればAさんはむくれて「じゃあ全部増田さんがやればいいじゃないですか」と仕事を投げ出すだけなので、こっそり三籠に別けて商品商品が重ならないように入れ直した。そして置場所も廃棄品置場所から離して、籠それぞれにでっかい注意書き(「予約品! 廃棄・品出ししないでください!!」)を貼り付けた。Aさんの商品の詰め方については何も言わず

明日の早朝勤の二人は仕事が出来ると言われていますが、それでも信用ならない部分があるし、早朝のドタバタの中で判断を誤らないとは限らないので、こうして置き方をド派手にして目立たせてみました」

 と説明した。Aさんはそれで納得したようだ。内心はどうかしらんけど。

 当店では、Aさんの知る限りでも三度くらい取り分けておいた予約商品の誤廃棄が起きたらしい。Aさんはそれをやった人が低能だったせいだと思っているらしいのだが、人の失敗は環境によって作られる面もあると思うし、失敗しづらい環境づくりも大事なんじゃないかなと私は思う。

 

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