2022-03-12

選択美術の思い出

20年くらい前の中学校での選択科目の美術

陶芸をするから粘土をこねろと言われた

美術室の中には知り合いも少なくて居心地の悪い時間だった

最初は真面目に整形していたものの、底面と側面の間をただつまんで均すのがつまらなくて、べたべたな土に指紋が残っていくのが不格好に見えて仕方なかった

僕は飽きたので、粘土で型を取ることにした

粘土をつぶしてただの塊状に戻し、廊下側の窓の錠に押し付け

上下金属の取っ手を動かすアレがにゅうっと粘土の中にに埋まっていく

粘土の凹凸が壊れないようにそおっと錠から外したが形が気に入らなかった

工学的な意味ある形を期待したのだけど、剥がしときの力を込めた方向に歪んでいた

窓の錠は片側からその跡を見ても、元の形状を想像できず、また眺める面白さもなかった

もっと平面で単調な形状の方がいいなと思い、僕は今度は粘土で長方体を形作った

上履きを脱いで、右手に持ち、机の上の均等に力が加わるように調整しながら念入りに押し付け

押し付けときよりももっと慎重に上履き粘土から外すと、狙い通り上履きの跡をきれいにとれた

ジグザグの稲妻上の溝の凹凸がひっくりがえって山脈の様に粘土の上に走っていた

自分不器用な手だけでは作れない複雑な形を作れて、自分自身は満足したものの道具や粘土を粗末に扱ったと先生には怒られるかなと思った

それで僕はチャイムが鳴るとそっと作品を提出して、自分教室に逃げた

それからしばらくしてから選択美術先生が僕に近づいてきて、「この間の靴跡のやつ、焼いたら割れちゃったみたいなんだごめんね」と言ってきた

「焼けたらどんな感じになるのか楽しみだったんだけどな」と言って先生は微笑んでいた

したこともない先生を楽しませることができたのかと不思議な心地だった

もうこの先生性別も覚えてないけど、物を作ると楽しいなと思えた原体験はこんなことだったなと昨日の昼になぜか思い出した出来事

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