今、JAMESONというウイスキーを飲んでいる。このボトルは今年3月あたりに買ったもので、購入当初はよく飲んでいたが、6月辺りから完全に放置していた。アルコールが飛んで香りや味が変わってしまう事をおそれ、久々に飲んでみることにした。
グラスに注いで香りをかいでみると、何故かふわりと懐かしい香りがして、今年春の思い出が強く蘇った。暖かくなってきた春の陽気の日、先輩の下宿でこの酒を飲み、結局オールして、肌寒い朝に始発で家に帰った思い出。半年前の出来事なのに、それがまるで遠い青春のように懐かしく、強く思い出したのだ。
調べてみると、香りと記憶は強く結びついているらしい。ということは、ある一定期間同じボトルを飲み続けたら、その頃の思い出とウイスキーの香りを結びつけることができるのではないか。このとき、「ウイスキー思い出保存法」のコンセプトが誕生したのである。
「ウイスキー思い出保存法」の手法は至極簡単だ。何か思い出深いイベントがあったとき、適当なウイスキーのボトルを選んで飲むのである。大学サークルの合宿期間中、単位を落として絶望する夜、好きなあの子のSNSを偶然見つけて脳が破壊された時...。そんなときに適当なボトルを一本選んで、香りを味わい脳に思い出を定着させる。
あるボトルを飲み続けた期間が、そのまま思い出として記録される。例えば、1月から3月にかけて飲んだボトルであれば、その期間の思い出が記録されることになる。飲み方は何でも良いが、香りを強く感じる飲み方が望ましい。ストレートかトワイスアップがベストだ。
注意としては、最低でも1ヶ月は同じボトルを飲み続け、飲み方は極力変えないこと。これは、香りと思い出を結びつけるために重要だ。また、思い出を定着させたい期間が終わってから半年は、そのボトルを飲まないこと。間を開けないと、保存した思い出に別の記憶が混ざってしまう。あと、思い出を保存するボトルは、簡単に手に入るものがよい。レアなボトルに保存すると、せっかく保存した思い出を簡単に思い出せないくなる。
思い出の保存が済んだら、あとは好きな時に保存したボトルを味わえば良い。きっと大切な思い出が、あなたの脳裏にまるで津波のように押し寄せることだろう。
ちなみに、思い出を懐かしむ手段として音楽もよく使われる。とある曲をヘビロテしながら「ウイスキー思い出保存法」を実施すれば、より強く思い出を保存できるかもしれない。
このやり方は他の酒や飲み物でも応用できると思う。是非お試しあれ。
「バーテンダー」っていう漫画でとあるバーのマスターが「人は変わるだから酒の味は変えるな、そうすればお客様がバーに来た時昔の自分に会える」って言うとったやで でもワイは酒...