コンピュータプログラムに係る種々の権利とその煩わしさ。それを回避するためにクリーンルーム設計は存在する。まったく中身を知らないものが元のプログラムを実装すれば、できあがった新しいプログラムは権利関係をクリアしているという理屈だ。
しかし、ソフトウェア開発とノウハウやソース共有の合理化が行くところまで行った昨今、「まったく中身を知らない」なんて奴はいない。そう、シルバー人材以外は。
彼らは医学の見地から、完全にボケており、記憶力が0であることを保証されているプロのボケだ。さらに、彼らは元IT奴隷であり、記憶力がなくてもコーディングの所作は身に染みついているのだ。
今日もシルバークリーンルーム開発者はキーボードを叩く。何をさせられているかも分からず叩く。惰性で叩く。奇しくもその光景は、診断書が鬱かボケかという違いだけで、まったく現役時代と同じなのだ。出来上がったものがめちゃくちゃで、詰められ、償いをさせられるところまで。彼らは死してなおIT産業の軋轢、コミュニケーションの誤差率の体現であり続けるのだ。