帰省した。あまりに両親が帰省しろしろとうるさく心が折れた形だ。こっちは大変なんだ、移したら子供として情けないとか自分の周辺に白い目で見られたくはないとかあれこれ言ったが、老いていく私たちへの親孝行をする気はないのかという泣き落としで陥落した。いい大人が子供に泣き落としを使うな、それはずるいだろ。
というわけで帰ったが東京の殺気漂う環境とは縁遠く呑気なものだった。店の従業員の方からビニールの仕切りをのれんのようにくぐって話しかけてくるし、サーモカメラで子供は遊んでいるし、飲食店の時短要請は「うちは対象エリアじゃないから」と突っぱねる、そんな光景が広がっていた。本当に感染者数でここまで温度差がつくものかと思うほどだった。これがこの地域の新しい日常なのであれば確かに東京で可能な限り家に引きこもって暮らす私は過敏な人間に見えるわけだと痛感した。
両親は良い意味でも悪い意味でも新しい日常に馴染まず元気だった。帰るときにまた3月に、と口をすっぱくして言っていたがその横で流れるニュースでは菅総理が「緊急事態宣言を検討」と報じている。
家族以外にうつす事も少しは心配しろよ。