私は「たのしみだね。」と妻に言いながらも、素直に喜べない感情が心の隅っこに引っかかっていた。
街で見かけた障害のある子供と手を繋ぐお母さんの姿に自分の妻を重ねて、自分の人生の大半が子供の介護になってしまう事が不安だった。今まで頑張ってきた仕事が無駄になることがイヤだった。今までしてきた徹夜の日々が無駄だと思いたくなかった。
障害児が生まれる確率を調べ、出生前診断をし、結果について夫婦で話し合いもした。
「子供の健康意外、他に何もいらない」心から強く強くそう思った。
妻は二重だが私は一重なので、子供には二重になって欲しくなった。
さらに、子供が少し歩き始めるくらいになると才能が心配になった。
運動神経が良くなってほしいとか、アートの感性を身につけて欲しいとか。
その時に気がついた。自分はなんて愚かなんだと。
あの時のあの思いはどこにいったのかと。
もし神様がいて「あなたの子供、障害もって生まれてくるけどどうする?」
みたいな会話があって、私が
「すみません、それだけはやめてください。他には何もいらないんで。」
もうやめよう、何も望まないようにしよう。
よく母や祖母が言っていた「健康が一番大事!」という言葉が胸に刺さる。