いままで気付かなかったが床屋の向かいに和菓子屋があったのか。日差しを浴びながら買ったみたらし団子をほおばる。モチもち感があまじょっぱさと相まっておいしい。
大学に行くと多少人が減っているが教官室は通常営業だ。工学部なので実験系は残っている人が多い。
何となく惰性で来ていた院生たちを集め、「今日で研究室は解散、各自生き残って再開後に会おう」的なことを伝え別れた。
一人ぽつんと夕日の差し込む研究室の椅子に腰かけて、学生が壁に貼ったアニメのポスターやら机上に散らばった実験機材を見ながら物思いに耽った。
やっぱ学生の相手は正直つらいな。現代の研究は学生を巻き込んで実験しながら成果を出さないとやっていけない。
じつは自分は一人でこじんまりと研究したかったんだよな。期せずしてそんな時間がやってきたけど、こんなに世間が騒がしいんじゃそんな気分にもなれないな。
まあ、学生の教育をしているといいこともある。学生は教員の理解力不足と無力さを教えてくれる。まだまだ頭が足りねえぞと高慢の鼻をへし折ってくれる。
いいわけだけど、そう思うことにした。