2020-02-04

自分の中の男性性が怖い

男は良い。

筋力もあるし生理もない。

でも凶暴な男性性が発露する時、男である事が嫌になる。

街を歩いていて好みの女性を見ると反射的に胸の奥からこみ上げるものがある。

みぞおちから首元までジワッと一瞬で、息苦しさに似た何かが染みる感覚

劣情だ。劣情が俺を支配しようとする。

もちろん道端では抑えられる。我慢できる。でもそれが好きな人と二人でいる時は暴走してしまう。

昔、一日だけ彼女ができた。

彼女とまだ友達同士だった頃、週末に彼女の家の近くの浜辺を散歩しようと誘った。前々からの子のことを良いなと思っていて、向こうも俺の事好きなんじゃないかと思う事が多々あったからだ。良いよと言われた時、それは80%くらいの確度になった。

当日俺は彼女の家で待ち合わせした。家から出てきた彼女はなぜか家の中に俺を誘う。「海行かないの?」と言っても生返事だ。

そのまま初めて入る彼女の家。なぜか家の中をぐるりと案内された。誰もおらずとても静かだったことを覚えている。彼女曰く、家族旅行に行っていて誰もいなかった。そうしている間に二階にある彼女の部屋に着いた。もう俺は告白する準備万端だった。彼女と一緒に卒業アルバムなど見ながら、いざ告白彼女は恥ずかしそうにうつむきがちにうなずいた。承諾されたのだ。「キスしていい?」と聞いてまた承諾をもらい、キスをした。彼女のベッドの上で何度も何度もキスをした。彼女鼻息荒く、俺に体を預けキスを受け入れた。

この時点で俺の凶悪男性性は爆発してしまった。もはや目の前の女性を犯すことしか考えていなかった。俺は彼女に抱き付き、胸を揉み、服の上から股を擦った。しか彼女はやんわりと、しかし笑いもせずに俺を頑なに拒んだ。彼女セックスを拒んだ。あくまキスだけだという。

そうして何十分経ったかは分からない。しつこくセックスしようとした。すると彼女は突然すっと立ち上がり、今日は帰ってと言った。「ああ、うん」と俺は言い、二階から降りてゆく。玄関で謝ったがいいから帰ってと言われ、帰った。彼女はその後二度とまともに口をきいてくれなかった。

冷静になって分かった。俺は犯罪を犯した事を。冷静にならないと分からなかった。あれがレイプになっていた事を。定義のことはよく知らないが、とにかく俺は彼女意志無視セックスしようとしたのだ。

月日が経つほど強く思うのだが、あれは本当に恐ろしい事だ。生理的に生じる劣情が理性をマヒさせ、他人に恐ろしい心の傷を負わせるのだ。

正直これを男性性と言ってしまって良いかは分からない。世の中の男はみんなそんなものはこみ上げず、自分が単なる異常な人間なのかもしれない。とにかく言えるのは、次あの衝動に脳を奪われる事がとても怖いと言うことであり、自分を保つよう最大限努力したいという事だ。

しかしできるんだろうかそんな事。

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