ヤバいことになった。
なんかさ、俺の義弟が急に「息子の目の前で彼のPS4をぶっ壊す」とか言い出したわけ。
学校(甥はまだ12歳なのだが)で2科目落としたことに対する躾のつもりらしい。
なんでも、躾目的に子どもの目の前でゲーム機をぶっ壊して、その反応を動画に撮ってアップするのが Youtube ではやってて(世も末だ)、それを観ておもいついたのだそう(世も末だ)。
俺は妹夫婦をなんども説得しようとした。
それだけはやめろ、と。売るなり隠すなりすればいいだけだろう。
そんなアホな真似だけはやめてくれ。
だが一向に聞き入れてくれない。そこで俺は甥に直接バラすことにした。
彼の親が何をするにせよ、過剰な反応を見せるのは思いとどまるよう諭した。
ただ失望だけを示せ、と。あるいは何か別の、彼らに後ろめたさを催させるような反応なら何でも良い。
次の学年に上がったら、俺がおニューのPS4を買ってやる。そこは心配しなくていい。だが、バカな親どもに罪悪感というものを味わわせてやれ。
そう教えた。
そして先週、その日がやってきた。
義弟はおバカ友だちと甥を椅子に縛り付け、笑ったり叫んだりしながらバットでPS4を破壊するさまを録画しだした。
甥は虚ろな顔のまま、微動だにしなかった。ときどき何かをささやいたり、笑ったりした。
次第に不審に思った義弟は破壊行為を中断して騒がしい友だちを黙らせ、息子にこう問いかけた。
「なんだ? なにがおかしい?」
甥は言った。
「父さんはぼくに恥をかかせた。ぼくのモノを取り上げて、みんなの前で恥をかかせた。倒産はぼくより体も大きくて強い……でも誰だって寝ているあいだは無防備だ……これが終わったら、ぼくは父さんたちの寝室に入って、考えるべきことを考えるよ」
甥は一週間かけてこの口上を用意していたのだ。そしてこのときをずっと待ち構えていたのだ。
彼の芝居はちょうとどうかと思うくらい恐ろしく、俺自身言葉を失っていた。誰もがショックを受けていた。
正気に戻った俺は「みんな、よくやった! いい躾だった」と大声で閉幕宣言を出した。
その後、甥と話す機会があった。「おじさんから前もって教えてもらってたってことは誰にも言わないよ」と彼はいった。
曰く、両親への復讐に出るつもりはまったくなくて、ただ俺から提案されたように、父親を躾返したかっただけらしい。
で、現状どうなったかというと……。
恐れおののいた妹は心理カウンセラーの予約を取った。夫婦の寝室に夜通し鍵をかけるようなった。家庭崩壊の危機ってやつだな。
よくないことをやってるのはわかってる。妹夫婦に全部白状すべきなんじゃないかとも思う。
でも、正直な話、この件の顛末がどうなるかを見たくてたまらないんだ。
https://twitter.com/BathysphereHat/status/1213662560433692672
よくわかんないけどおすすめの映画は「私をスキーにつれてって」「エクソシスト」「銀河鉄道の夜」だ。
アメリカにもこういう話あるんだねえ。 やられっぱなしの日本の子供と違って、子供の側の反骨心が日本より強そうだけど。