冒険者ギルドができるまで、魔物退治の仕事は冒険者と村人の間で自由に報酬が決められていた
その村では、かつて夏の長雨のあと、吸血羽虫のモンスターの大量発生に悩まされていた
ある日若い男の冒険者がふらっと現れ、アースノーマットの魔法を使ってモンスターを一夜のうちに退治した
男は「僕のいた世界では普通のことです」「報酬なんかいりませんよ」などと言い、報酬を受け取ろうとしなかった。村人はみな喜んだ
それから数年たち、村では冬の旱魃のあと、バケネズミのモンスターの大量発生に悩まされた
その時現れた冒険者は、村のモンスター退治の報酬として帽子一杯の金貨を要求した
結果その冒険者は魔法の笛の魔力を使い一夜のうちにモンスターを退治した
だが、夏の長雨の時の冒険者の無欲を思い出した村人は
「対して苦労もせずに仕事をやってのけ、多くの報酬を望むなんてひどい」
悲劇はしばらく後の冬の朝に起こった
「報酬の代わりを受け取りに来た」
冬の冒険者はそう言うと魔法の笛を使い村中の子供を連れ去り、東の地へと消えていった
村人たちは深く悲しみ、ニュースは国中に広まった
この話の教訓はこうだ
人はある仕事にかかる準備や技能の習得のコストを正しく計ることができない
無償で、あるいは廉価でやってくれた仕事の記憶が残ると、その経験がコスト計算の基準になり
この事例の結果を重く見た全国の冒険者は、仕事と報酬のバランスを正しく決めるようギルドを制定し
報酬が適正な値になるよう調整することになった
このような碑文が建てられ、今の時代にも教訓を残している
130人の子供らが誘い出され