『長期休暇中連絡先名簿』
そこに名前を書かれたが最後、H社に所属していない状態のMは消滅する。
もしもスマホがなったら、熱を出していても、気絶していて死にかけていても、「今ちょっと対応できません。ごめんなさい」と伝える義務が生まれる。
丑三つ刻だろうと関係ない。
夜中に突然のシステム障害、前日の飲み会で課長にたっぷり注がれた酒が残る体で限りなく永眠に近い眠りに落ちていようと関係ない。
俺はただのM(仮)に戻りたい。
H社(仮)のMじゃない。
俺は一人の人間だった頃のMに戻りたいんだ。
大学生の頃の俺は、寝ている間ぐらいはただのMだった。
朝起きて、LINEや研究室で謝れば寝ていた頃の俺がただのMだった事を誰も否定しなかった。
ニートだった頃の俺は、寝ている間だけは学生時代のMだったし、異世界の勇者にもなれた。
永遠に魂を拘束されている。
その拘束は緩やかだから金を払う価値は無いと社会は言うし、労働基準法だって三六協定だってそう言いやがる。
ふざけやがって
今増田を書いている何の生産性もないカスがお前の会社のとある業務の代表で窓口だと?
俺はな、今はただのMなんだよ。