○朝食:なし
○調子
仕事は…… まあ……
ミステリ部分の完成度は随一で、真実よりも「納得度」を優先するからこそ、この真実には重みがある。
作中で度々ミステリとしては邪道という自虐があるが、めぐりめぐってミステリの王道本格ミステリのかなり本質的な部分に触れていて、この遠回りして目的地にたどり着く感じがまさにミステリとは議論だなあ、と感じた。
多重解決もの、の一言で切って捨てられないぐらい、ミステリというジャンルに切り込んでいるのに、そのために必要だったのが、名探偵じゃなかったというのがなんともかんとも。
ただ、この名探偵でなくとも、それを超える神のごときなにかでも、名探偵の苦悩らしきものがあるんだぞってのが、この作者の作風なわけで。
個人的には、シリーズ的なストーリーの進みはいらず、こうやって長編や、前作のような短編を定期的にリリースしてくれるネバーエンディングがいいのだけど、
どうにも、お馴染みの「ハッピーエンドではないけれど、作中人物的には最善を尽くし、不平不満はあれど、それなりに満足した言葉ではなんとも言い表せずらいエンディング」に向けて進んでいるようで。