2018-12-31

大晦日正月にはアウストラロピテクスに会える

実家山間にある水田農家で、遠くに高速道路が走る風景は昔から変わらない。

さな駅に車で迎えに来てくれた両親と共に、私は私の家族と共に実家に帰る。

山際の家に到着し、一泊して今日を迎えた。

近くの家の庭先を訪ねると、アウストラロピテクスに会える。昔からいるやつだ。とっても。

アナメンシスなのかアファレンシスなのかは尋ねたことがない。骨格は外面からはうかがえない。

昔と変わらず、彼は石で骨を割っていた。そういう仕事なのだ

骨を割り続けるアウストラロピテクスのとなりに蹲踞する。

作業を続けながら、彼が問うてきた。

ホモサピエンスもさ、骨食うよね」

場合によってはな」

「この飽食時代だ。俺も骨以外も食べる。ところであんたたちの主食は?」

「米だと言われている」

「いや、それは最近のことだろ。もともと何食ってたんだよ」

「そういう意味なら、日本人なら魚かな」

そう言って私は、もう少し考えて言葉を出すことにした。

「精確に言うと、現在日本列島とされる空間に住した人間は魚だ。まずは魚だったはずだ」

「そうかい

「俺たちより昔は果実だった」

「そうだ」

未来はどうなるだろう」

「藻とかじゃねえのかな」

「ありだな」

例年他愛ない話だ。互いの親戚の話とか共通の友人とか。仕事の話とか。

そしてそれぞれの社会に戻って行く。

ちょっと違うやつと話すと、いつもの不断に続く一年仕事に対して、何だかよくわからないやる気が生まれてくる。

彼らをはぐくんだアフリカの4百数十万年前の乾燥地帯を思って、そこにある石をぐっと掴んだ。

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