素朴な質問だけど、あなたは「基本的人権を守らない人間、基本的人権を認めない人間」の基本的人権を尊重すべきという立場だろうか? それとも違う? 可能ならご自分の意見・立場を聞かせてほしいです。
ちなみに私は「当然尊重すべき」派です。しかしそれは、私が思想的人間であって政治的人間ではないからに過ぎません。極論すれば、私は私の思想的一貫性を保つためならば社会が悪に染まっても仕方ないと言っているも同然で、それは十分傲慢な考え方と自覚しております。(※)その意味で、自分はそう考えないまでも、ある種の政治的人間が「『国民の人権など知らない』と考える政治家の人権など尊重しない」かのように振る舞うことにも一定の理解をもちます。彼らは毒をもって毒を制すると考える、あるいは、毒をもってしか毒を制することはできない、と考えているのでしょう。彼らに見えているものは私に見えているものとは違いますが、それは十分に想像可能です。たとえば、坂口安吾が占領軍の眼を意識しながら、戦後のある時期に「特攻隊に捧ぐ」という随筆を発表し(占領軍検閲により発表できませんでしたが)民主主義の時代になろうが特攻隊員の純粋と献身を疑うべきではない、と述べたのと同じです。従って私は彼らを批判すべき言葉を持ちません。
で、あなたは?
※…「傲慢」と書きましたが、もちろん私は自分自身に傲慢を許す=自分自身を偉い人間か何かと考えているというわけではありません。私は、人間理性への信頼に基づき、いずれにせよ最終的には人間はまともな考え方に収斂するので社会が悪に染まるとしてもそれは一時のことであると考えています。しかし、そういう考え方を他者が見たとき誤って「傲慢」と呼ぶかもしれませんし、それもやむを得ない…そういう意味で「傲慢」という言葉を用いています。私自身は自己のことを、単に忍耐強いと考えております。