http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56410?page=2
主観的には自分が正しく、正当な「表現」をしていると思っているからこそ、それを封殺しようとしたり、議論もせずに馬鹿にしたりする不特定多数のネットユーザを許せない。だから容疑者は「ネットリンチをされている」と感じたのである。
実は、ネット上でそのような批判的・中傷的書き込みをしている人の大半が、「相手に失望したから」や「許せなかったから」といった「正義感」を動機としていることが、私が過去に行った4万人を対象とする実証分析から明らかになっている。
この調査では、「炎上に書き込む動機」を聞いているので、厳密には本件のような「荒らし」とは一致しない。しかし、少なくとも「炎上」については、実に60~70%の参加者が「正義感」から書き込んでいることが示された。また、そのような人は、それ以外の動機で書き込んでいる人に比べて、書き込む回数がはるかに多い
韓国では一時期、実際にネット実名制が導入されたことがあり、盛んに実証研究もなされている。そして、実名制を導入した結果、過剰な表現の萎縮(=普通の書き込みの大幅な減少)を招いたにもかかわらず、悪意ある書き込みの割合には有意な変化がなかった
中傷や荒らしを書き込む人の心理と動機に関係している。つまり、そのような書き込みをする人は「自分こそ正しい」と信じているため、実名制になっても特にデメリットを感じず、書き込みをやめないのである。