「おかしい」という言葉が示すように笑いというのは異質さから来ている。「ふつう」とのずれが笑いを生み出す。しかし、異質すぎるものは笑えない。理解や想像を超えてしまうからだ。そこに抱くのは恐怖という感情になる。一般的な人がスナッフビデオやネクロフィリアにおかしみを見いだせないのはそのあたりにある。
翻って淫夢の話である。淫夢が流行る、笑いになるというのは、ゲイ行為が「ふつう」ではないという認識がもたらすものにほかならない。しかしまた同時に、ゲイ行為が恐怖の対象になるほど異質なものではないことも示している。淫夢の笑いは、日本人が同性愛に対する差別を克服していく進歩の過程でうまれたものだ。
差別は異質性から生まれる。女性専用車両が差別だと言う話が噴き上がるのも、結局は男女の異質性に基づくものだ。そもそも痴漢という行為が異質性に基づいている。また多くの人がこの話題に言及したくなるのも、異質性からくるおかしみが人を惹きつけているのだとも考えられる。