私の母は美人だ。
「あんなに美人なお母さんを持つのって、どんなものなの?ただ好奇心から聞いているだけなんだけど」
「べつに楽しいものじゃないわ。みんな心の中でこう思うの。まったく美人な人だ。見事だ。でもそれに比べて娘は大したことがない。こういうのって覚醒遺伝なのかなって」
反面、父はそれほど美しい訳ではない。
父は学歴が良い訳でも安定した大企業に勤めているわけでもない。
というか中卒だ。
子供は私含めて二人いるのだが我々は
「なんで母は父と結婚したのだろうか?」
という疑問を抱き続けて生きてきた
そこで先日里帰りした際に思い切って聞いてみた。
「なぜ父と結婚したの?」
「頭が良いからよ。私は頭が良い人が好きなの」
父は中卒だ。大企業にも勤めていない。後ろ立てもなにもない。
例え頭が良いにしろ、それを出逢ってすぐに理解するのは困難を極めるだろう。
母と出会った頃に、父が持っていたのは立ち上げたばかりの微風で吹き飛ぶ会社と
バブル期の浮かれた時代の中で、バブルの恩恵も受けられない最下層だったはずだ。
そん父を母は「頭が良い」と思い好きになったのだ。
父の事業は30年以上続いている。
母は一度も金で苦労したことはないという。
我々も金で苦労したことはなく、やりたいことをやらせて貰った。
凄まじいのは、何も持っていない状態の父を「頭が良い」と言い切って結婚した母親。
おそらくそれを予見していた訳ではないだろう。
父に着いていけば良いと。
おそらく頭が良いのは、母親も同様だ。
そして誠に残念ながら、その感嘆すべき地頭の良さも人を見る目も我々には受け継がれていない。
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ホリエモンも