2017-05-22

とある完結漫画(仮に「A」としておく)を読んだ。

全四十巻(仮)の大作だった。読了感も良く、久しぶりにいい漫画を読んだ、と実感できた。

とくに感銘を受けたのは終盤における「××というキャラクター覚醒シーン」であった。

俺はネットの海で検索を始めた。きっと自分と同じような感覚をだれかが抱き、そのだれかが感想を書いているに違いないからだ。

果たして、その××の覚醒シーンに対する感想は一件もなかった!!!

いや、ウッソだろ、嘘だろ。おい。

検索すれど検索すれど出てくるのは

「いやー○○の激闘はよかったよね。痛みに耐えてよくがんばった!感動した!」だとか

「いやいや□□のカーチェイス(仮)シーンもかなりのものでしょう。あの緊迫感はたまらなくよかったね」とか、

そんなんばっかりだ。

いやいやいやいや。

××の覚醒シーンに至るまで、ラスト十巻ぐらいずーっと××の生い立ちとか、どうしてここまでひねくれた性格になったのかだとか、

とにかく××メインでやっていたじゃないか

などと思っていると、××に対する感想が目に入ってきた。

「××ほんまクズ

「あまりにも不快

死ね

「なんでこいつが終盤の尺独占してんの?」

「いや…最後覚醒されたからって今までの言動は帳消しにならないんだが…?」

…確かに××はドクズである

仲間を仲間と思わぬ言動が目立ち、空気を読まず、ストイックさとわがままさをはき違えており、端的に言って性悪だった。

しか!!!それは過去の話だ!!

彼はたしか覚醒したのだ!

今までの言行を思い返して涙を流して反省し、

神様、俺の願いはもう叶わなくていい、あいつらを救ってくれ!」(仮)とまで言ってくれたではないか

それなのにあんまりではないか


探せども探せども、××に対する評価は「クズ」一辺倒だった。

覚醒シーンで感動したのは、どうやら世界で俺一人しか居ないようだ。

悲しい。

俺が読んだ漫画「A」世間一般流通している漫画「A」はもしかしたら別の漫画なのかもしれない。

きっとそうだ。


から少なくとも俺の知っているあの漫画の××は最高に格好いい伊達男なんだ…確かにそうなんだよ…。

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