好きな人の「好きな人」にはなれないから、互いに代わりを務める。
そんな物語を読むと、いつも心が荒んだ。
当時好きだった相手は、自分の事などこれっぽっちも興味が無かった。ように思う。
ただ、互いに必要だった時のみ連絡をとるという、慾望だけが繋がっていた。
そんな相手を思い出す。
きっと相手には、他に思う人も居て、自分はそれを埋めるだけなのだと
一緒にいるときにも、感じる。感じていた。
いつも、ただただ悔しかった。
行為のあとの虚しさの中で、消えない悔しさが腹の底に溜まっていた。
相手には、代わりである自分がいる。でも、自分には、代わりが居なかった。
いたとしても、頭の端で、いつも思い出していた。
そんなものが、ダラダラと3年だか4年だか続いていた。
ただ酒を煽って、欲を求めることがあっただけで、何も変わることはなかった。
均衡を破ったのは、恐らく自分だ。
確信が持てなかっただけで、予想をしてなかったわけではない。
だから、心の何処かで多分、納得していた。ああ、やっぱりか。って。
それからはもう、ただただ崩れていくだけだった。
誰かの代わりかもしれない、と
誰かの代わり、でする行為は、雲泥の差だった。
連絡を取るのをやめて、些細な興味に突き動かされることもやめた。
今でもまだ、忘れられない自分の未練たらしさに呆れながら、慰めることも少なくない。
当時はただ、異常な思考のまま、朦朧とした頭で、何も考えられていなかったのだろう。
今になってみれば、ただ弄ばれて、利用されていただけだっただろうに。
いや、利用していたのは、こちらも同じだったのだが。
なぜこんなことを、こんな所にツラツラと書き連ねているかといえば
アニメ化と新刊発売を控えた「クズの本懐」を読み返してしまったためだ。
誰を思って、何を思ってキスをしていたのか。
今更聞いたところで、何にも成れはしないけれど。
それでも止められなかった自分が浅ましくて
誰かに話したことは、あまりない。
それでも無性に、誰かに聞いてもらいたくなった。
長々と大変申し訳無い。
此処に記せば、当時好きだった相手の事を、少しでも昇華させられそうで
匿名の海に溺れてみたくなった深夜。
全てのクズに幸あれ。