佐野っちが大々的にデザイン業界に横行するパクリの実態を暴いてくれたのは本当によかったと思う。
私自身デザイン業界に長くいるので、弱小であったがために金にならないデザインをさせられそれをほぼそのままパクられるという煮え湯を何度も飲まされてきた経験がある。
ただここ最近風向きが微妙に変わってきたようで、かつて数年前に弱小事務所やフリーランスからアイディアの美味しいところだけパクりまくっていた大手広告代理店のデザイン力が急激に落下してきたのを感じるようになった。
うまく言えないけど、見ただけでもう「あ、どこかのをパクったな」ってわかるような中途半端さを感じるような感じだ。
以前はパクるにしてもどこかとんがったところがあって、さすが大手だけあってデザイン力すごいなって思っていた広告が実はあとから同業者から「パクられたんですよ」って話を聞くことが多かったのだ。
それが今はどうもパッとしないというか、なんとなく素人くさいような妙な下手さを感じるようになってしまった。
それはパクられまくった他の事務所がクライアントによい案を出さなくなってしまったせいか、それともパクリの技術がそもそも落ちてしまったのかはわからない。
でも思うのはパクリは最初こそ自分の能力を高く見せるためには有効でも、長く続けると自分自身の能力を著しく落としてしまうものだということだ。
弱小とはいえデザイナーのはしくれとして言わせてもらうと、他人のアイディアをそのままパクるというのはいわば魂を売るような行為だ。
最初は高く売れたと喜んでいるのだろうが、その代償は本人たちが思っているよりもずっと大きい。