「正義のための戦いなんてどこにもないのだ。正義はある日突然逆転する。正義は信じがたい。」
日本の正義を信じて21で戦争に行き、弟を特攻隊で亡くし、戦後に全ての価値観がひっくり返されたやなせたかしの思想だ。
逆転しない正義があるなら献身と愛だそれも大袈裟なことではなく、目の前に飢えた人が居れば一片のパンを差し出すことだ。
演劇にするときに悪役もいた方が盛り上がると作られたのがバイキンマン、彼は乱暴で説得が通じないしアンパンマンをやっつける為にこの世界にいるので戦わざるをえない。
だからアンパンマンは当初の使命のパンを食べさせる事も減り、何度も何度も戦い続けている。
しかしバイキンマンの有害さをジャイアン程度に留めて、あの世界で皆が戦わず過ごす話でも成り立つ気がする。
アンパンマンのトイレや掃除などのしつけ目的で作られたアニメを見ると、バイキンマンがキャラ崩壊してほぼ無害だ。
どれくらい崩壊しているかと言うと石鹸で手を洗って喜んだり、アンパンマンと電車ごっこで遊んだり、子供たちに食べさせてあげようとパン工場でクッキーを焼いて出掛けるが忘れてしまい、アンパンマンが忘れてるよーとクッキーを持っていき、子供たちが喜んで食べてバイキンマンも喜んでいる後ろでアンパンマンが(バイキンマンのクッキーは黒焦げだったからジャムおじさんに焼いてもらったんだ、ないしょだよ)とささやきバイキンマンは「あのクッキーは俺様のじゃないみたいだが後でじっくり聞かせてもらおうか」とアンパンマンを睨む。
バイキンマンはまるでメシマズヒロインのように無害でアンパンマンと仲良くしているが、話として見れないことはないし子供も喜んでいる。
子供が見たいのはバトルではなくアンパンマンや美味しそうなご飯だ。
戦わない路線に舵を切ることもできるのではと思う。