2015-10-02

僕は百合証明しようと思う。

「ねえ、いい百合作品があるんだよ」

「そう、それで、男は出てくるのかい?」

君の答えを聞いた途端、僕は二十億光年の彼方に飛ばされる。


………


男が主人公百合作品、というものを、僕はいくつか知っている。

僕は友達が少ない』、『マクロスF』、『ロウきゅーぶ!』、『聖剣使いの禁呪詠唱etc etc...

君がこれらを、百合だと認めないことも知っている。

から僕は最初から君には勧めやしない。

けれど。

百合、と冠されたレーベル以外の作品差し出すとき、僕は口ごもらざるを得ない。

「この漫画の1巻は全1023コマ、男が登場するのは74コマパーセンテージにして7.1%……」

だってそんな答えを求めちゃいないだろう。


………


僕は、馬鹿から、二十億光年の向こうから君に、弱々しく主張する。

「『神無月の巫女』は?」

百合カップルが男に打ち勝つ唯一の百合作品。あそこまで強固な絆を持った百合はもうどこにもない。『わかばガール』『のんのんびより』『それが声優』……女どうしの恋愛がない作品百合と呼ばれる資格はないというのに」

「『響け!ユーフォニアム』は?」

「久美子と麗奈の間の引力は、男との恋愛と違って永続するものだとスタッフが明言している!」


………


君はため息をつく。

百合好きがどれだけ裏切られてきたかを知っているか

知らない、と僕は答える。僕はいだって何も知らない。

「たとえば、『ARIA』。アリシアさんの結婚。未だに胸が痛む、手酷い裏切りだ」

僕は分からない。二十億光年の向こうで、僕は、ただ、灯里アリシアとみんなとのすてきな時間を思い返す。アリシア結婚したことで、その輝きは消えてしまったのか?


………


僕は君に百合証明しようと思う。

二十億光年彼方から

「本編が百合とかけ離れている作品外伝にどう期待すればいい?」

百合がはじまったとしても、最後まで百合で終わる作品のほうがめずらしい」

ハーレムものレズキャラはだいたいがツンデレの亜種であって、男嫌いからの逆転・主人公特別さを描くだけのもの

僕に反論する言葉はない。僕は、ただ、ここから一瞬の輝きを見上げる。男を好きになってしまった哀れな女が、百合キャラでなくなる様を。輝きを失うさまを。かつてそこにあった輝きはまだ僕の脳裏に残っているけれど。

けれど僕の喉はもうふさがれている。

君には届かない。

何も。

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