2015-06-22

もしもの

もしも、だなんてあまりしたくない話なのだけど、彼を見るようになってから頭の中で言えないもしもが募っていく。

もしも、私が彼に声を掛けたら…?

考えてみるけれど、間違いなく声は上擦るし、顔は真っ赤になって吹き出す汗と脂できっとテカテカになってしまう。そんな顔を彼に見られると想像しただけであまりの醜さに目を覆ってしまいたくなる。

もしも私が、黒髪ロングでバスト豊満で、くすりと笑う笑顔が素敵な女性なら自信満々にレジを打ったり、レジ台をいそいそと台拭きで拭いて綺麗にしている彼に声を掛けられたのに。現実残酷だ。

暴走してしま思考は、彼にレジ打ちをしてもらってる時に「笑顔可愛いですね」と言おうかと悩んでいるし、何をトチ狂ったか「いつもあなた自慰をしています」と言ってしまおうかと思うのだから自分自身が恐怖だ。

そんな事を言ってしまった途端に私は彼の働くスーパーに一発で出禁を喰らうだろうな、とぼんやりと思っている。

まず、言う勇気もないからその心配杞憂に終わるのだけど。

しかし、彼に覚えられたかもしれない、と言う事実に嬉しさと焦りが交錯する。

それすら勘違いかもしれないのだけど、いつもレジをしてもらう時に彼はマニュアル通りに「いらっしゃいませ カードはお持ちですか?」と聞くのだけど、この前行った時にはそのセリフを言わず「いらっしゃいませ はい」と言ったかと思えば会員を示すレジボタンを押したのだ。

これは もしかして と思う。けれど本当にたまたまかもしれないし、もしかしたら私が持っていたカードが目に入っていただけかもしれない。覚えられたかもしれない、と言う事自体私の杞憂と言う可能性だって大いにあるのだ。

覚えられてしまっては負けだと言っていた割に、もし覚えられていても彼のレジに並ぶ事を止められないのだから、本当に滑稽だなぁ、と思う。

そして彼を思ってする自慰も全く辞める気配がないのだから自分自身に嫌気がさしてしまう。それどころかどんなオカズよりも捗るのだから困る。正確には困ってなどいないのだけど。今日もお昼から耽ていたし、後悔の色は相変わらずない。

いつになればこの妙なファン心理を彼に持たなくなるのだろう。ここまで来るともはやファン心理なのかも不明だ。

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