外は猛暑。雲ひとつない晴天。しかし湿度も不快指数も高い。加えてセミうるさい。
でも聖職者ってのはエアコンの効いた受付で座ってればいいだけの簡単なお仕事です。
いやいや! もちろん私達が楽する為じゃなくて、参拝者が暑くて大変だからエアコンかけてるんだよ! いやぁ親切だなぁ!
いやー常に参拝者の事気に掛けなきゃいけないなんてつれーわーマジ聖職者つれーわー………ZZz……
ガラッ
ドスドスドス
「ふう…はあ…。安産の…腹帯の…御祓いをお願いします…」(五ヶ月くらいの妊婦)
「ゼエ…ゼエ…。この子の…初宮詣でを…お願いします…」(やつれてる経産婦)
「…。」(グッタリした赤子)
「……。」(後から続いて入ってくる、汗でげんなりした旦那達と双方の両親。もちろん正装)
日 を 選 べ
お前らそんなに胎児や赤子に今夏の過酷さを味わってもらいたいのかと。
世間の厳しさってやつをもう今から英才教育しておきたいのかと。
普通の旦那なら働いてるもんだし、両親と日程合わせるのだって大変というのはわかってる。
それに一週間くらいズレても、別に「〇〇日経ったら連れて来なきゃダメなんですよ!」とかグダグダ言ったりしないから。
妊婦や新生児に障るような天候の日に、ムリに神社来なくていいっての。
お日柄があまりにも良過ぎるようなら中止にしなさい中止に。親だって孫かわいいんだから解ってくれるっての。
あとそれでも連れてくるんなら、あらかじめしっかり授乳しとけ。
おむつ替えなきゃいけなくなっても、ギャーギャー泣き喚いても、祈願中にひっそり顔色悪くなって脱水症状だのひきつけだの起こされるよりマシだから。
双方の両親が帯同してるせいか、よく安産祈願や初宮詣でを「アタシ達夫婦の一大イベント!」みたいに勘違いして、祈願終わった後も本殿内や本殿前とかでパッシャパッシャ写真取りまくる若夫婦がいるけど、それは子供のイベントで、あくまでも子供が主役だからな。
仮に泣いてなくて母親の腕の中や腹の中で大人しくしてても、主役様の体調にあきらかに障る行為は差し控えろと。
親の自覚を持てと。