2014-04-30

キッチンクライシス

キッチンから悲鳴が聞こえて、何事かと思って駆けつけると、ゴキブリだった。

遂に現れたか。下の階がスーパーから、いつか来るんじゃないかと思っていた。大丈夫。ご安心なさい、マダム。俺はあらかじめ買っておいたスプレー取り出して、なんなく一撃殺虫した。

ビビる妻に男としての度胸を見せつけられて、すごい得意げな俺(器小っさ…)。

                                  

妻は呆然としていたが、やがて言った。「消毒しなくちゃ」。

早速、近所のドラッグストアで消毒用エタノールを大量に買い込んできた。そしてそこら中に撒く妻。唖然とする夫( ゚д゚;)。

ゴキブリときで、キッチン中をアルコール消毒!!?? いやー、いくらなんでもそれは… やり過ぎではないですか( ゚д゚;)?

「アレが這っていたかもしれないでしょ? そんな食器で食事できるわけないじゃない。少しは想像力働かせたら?」

妻は結婚前、年収600万。しかも良家のお嬢様だ。聞くとキッチンでGと遭遇したのは初めてらしい。

子どもは幼少期にキスされたり、親の歯ブラシを突っ込まれたりしなければ、一生虫歯に悩まされることはない、と聞く。だから、妻はバイ菌に敏感になりつつある。その気持ちはわかる。

だが、俺は学生時代から普通人間だったんだ。私服アイロンを掛けるのを怠っていたし、たまに髪を洗わないこともあった。

でも、彼女の髪にはホコリ一つ付いていなかった。その違いを埋めようと、俺はずっと努力してきた。四六時中それを考えていた。溝は埋まりつつある。そう信じていた。これでいい。努力を続けれていればいい。十分うまくやっている。何も間違ってない。

怖い。

趣味が違うのはお互いを尊重すればいい。性格が違うのは理解すればいい。でも文化が違うのは? 感覚が違うのは? バスタオルは每日洗いなさいだって? 夫婦バスタオルを共有するなんてもってのほか? ハンバーグを食べるときナイフを添える? グラスには必ずコースターを添えなさい? 「シチューライス? は? ありえない... 」 

いつか。いつか、致命的な違いを発見してしまって、この恋心が「冷め」てしまったら。

怯えながら生きてる。

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