耳が聞こえない、聾唖の女の子が小学校の時にいじめにあうんだけど、高校生になってそのいじめっこの男の子と仲良くなる話
序盤のストーリーではいじめと聾唖という問題を扱うんだけど、実はそれらはコミュニケーションの問題なんだ、というのをとてもうまく描いている
序盤の終盤(ややこしい言い方だけど)に自分が一番好きなシーンがあって、それはその女の子と男の子がガチで喧嘩するシーン
女の子はその障害もあって、誰かにいじわるされても黙って笑っているキャラクターなんだけど、男の子はそこをついて、耳元で怒鳴ったりとか遠慮なく直接攻撃をしてくる
男の子は何か反応を引き出したいんだけど、女の子がしゃべれないというのもあって何をしても愛想笑いしかしないから攻撃もだんだんエスカレートしていく
クラスの他の子も間接的にはいじめに加わっているんだけど、目立つのはその男の子という感じ
やがていじめがおおやけになって男の子がスケープゴートにされ逆にクラスでいじめられるようになる(女の子へのいじめも別の誰かが継続している)んだけど、その女の子は男の子を逆に助けようとする
それまで自分がいじめてたわけだから、男の子にとってその行動は理解できない
その手を差し伸べてくれた時も愛想笑いで本心が見えないことにいらついた男の子は、ついに「殴る」という手段にでる
女の子はそれに対して「殴り」返し、取っ組み合いのけんかになった
女の子は声がしゃべれないというのもあって、今まで誰とも対等の立場でコミュニケーションできなかった(本人もそれを避けていた)のが、ここで初めて喧嘩という手段で表現できた
文章で書くと若干チープに聞こえるけど、マンガだとその絵もあいまってそのプロセスが緻密に書いてあって心に迫った
個人的にはこのマンガは、障害やいじめといったものを題材としながら、それそのものを問題にするのではなく、それをきっかけとして、どう相手と接するか、どう自分を表現するか、という問題に取り組んでいて、とてもユニークだと思う
最近の連載だと恋愛方面に方向性を変えつつあるような気がするけど、根底のテーマは変わらないと思うので毎週楽しみにしています