この場を借りて、少し話をしようと思う
どこの誰ともわからない男が語るどこの誰ともわからない女の子の話
いや、女の子だった子の話
つまりは思い出語り、昔話だ
初恋を抜きにしても好きだった、というわけでもない
ただ、気になるのだ
それが恋じゃないかと言われても、残念ながらそうじゃあないんだ
思い出深いというか、印象深い、今どんなになってるのかなって一番気になる女の子
その子が女の子で、私が男の子だったのは今から20年ほど前の話
正確な年数や、当時の学年は残念なことにうろ覚えだ
本当に残念だ頭が
その子は黒髪で、長髪で、その髪を頭の後ろでゴムで括っていて、眼鏡で、あとは紺色のちびまる子ちゃんのような服にランドセルと、テンプレ的女子小学生の風貌だった
残念な頭はさて置いて、そんな彼女の何が印象に残ってるかというと、彼女の雰囲気がどこか人並外れていて、後々知った言葉を当て嵌めるとアウトローと言う言葉がピッタリだったのだ
どのくらいピッタリだったかと言うと同窓会でそう話すと知ってる人は皆納得するくらい
なぜそうなったのかわからないが、何度かその子と下校を共にしたことがある
家にまで行って遊んだことはお互いになかったと思う
ただその時の接点だけで、彼女のイメージは後々アウトローというものにすっかり昇華してしまった
彼女はハスキーというよりダミ声で、目は少し疲れてるような、悟っているような大人の目をしていて、女子小学生にしてピアノではなくギターを習ってると言い、怒ると爪を立てて襲ってくる、そして他の女子と一緒にいることはあまりなく、ただ一人佇んでいる
当時の印象は猫だった
今ある猫のかわいいイメージではなく、もっと野生的で、今でいうとハイエナのような危うさ、雰囲気を纏っていた
そんな彼女が、ふと気づいた時には居なくなっていた
小学生の終わりに転校でもしたのか、中学生になる時に別の学校へ進学したのか
残念ながら私の伝ではもうさっぱりわからない
ただそんな子が、20年ほど経った今
恐らく31歳となった今
生きてるかどうかもわからない
会ってみて話が通じるかどうかもわからないけれど
どうなったのだろうと気になってしまうのだ
会えてまた懐かしいだけで他愛もない話をして盛り上がれるといいな
毒にも薬にもならない話で、実に申し訳ない