私の母は去年、夫を亡くしひとりぼっちの状態が続いている。
父親が亡くなってすぐは、父親を慕ってくれてた方々が遊びにきてくれたり、諸々の手続きが沢山あったり、それなりに忙しかったんだと思う。
ただ、ここ最近は塞ぎがちというか、たぶんやる事がなくて辛い毎日なんだと思う。
もちろん父親が亡くなった事により、会社も亡くなった。
そんな母親は、なんとかもう一度働こうと働き口をしていたが、世間的には高齢と呼ばれる部類に分類される母親に働き口なんかない。
父親なくなった瞬間、きっと母はすべての日常を失ったんだろうと思う。
言葉には出さないけど、明らかに辛そうな母親の顔が頭に焼き付いたまま離れない。
もう40年近くずっと毎日そばにいる状態で、それが会社でも家でもずーっと一緒で、そうやって積み上げてきた全てが亡くなるなんて、僕には想像できないし、本当に辛い事なんだろうと思う。
時々は孫が遊びにきたり、誰かが遊びにくるから一時的に元気になるけど、やっぱ帰ってしまうと辛いのだろうと思う。
「この状態はよくない。」
どうしたら良いかと真剣に考えていましたが、答えなんか出なかった。
ただ、何かの番組でみたのか、母親はiPadを欲しがりました。
そして、先月に1ヶ月早い母の日のプレゼントとして、プレゼントしてみました。
どうせ、すぐ飽きてしまうだろうと思ってプレゼントしてみたんだけど、予想外に母親は使いこなしているようです。
先ほどFaceTime使って連絡が来るぐらい嬉しいようです。
多分母親にとってiPadというのは未知の概念であり、未知の世界なんだと思う。
ケータイすらろくに使えなかった母親が、iPadを使っている。
Facebookで意外と昔の友達や知り合いを見つけたり、解らない事があったらSafariで検索したり、i文庫HDで青空文庫を読んだり、FaceTimeで連絡してきたり、Huluで映画堪能したり...etc
Facebookだって、i文庫HDだってHuluだって僕にとっては当たり前でツールであって、そこにイノベーションを感じない。
でも母親は違う、母親にとってiPadに入ってるアプリはものすごくイノベーションなのだ。
これを機に、母親の失われた日常が新しい日常に変化してくれることを切に願うし、それが出来るのだと信じてる。
その一言をレビューに書かれるような開発者になりたいと思った。
誰かのくだらない評価より、母親のような人の人生を変えられるアプリを作りたいと思った。だからこれから僕は今以上に全力で仕事をしようと思う。
とりあえず、ゴールデンウィーク後半。
あなたのプレゼントで、お母さんの人生が豊かになったんじゃないかな。 お母さんを大切に。