2023-09-21

Gastr del Sol 「Upgrade & Afterlife」 レビュー

だって聴いてる間、身体はこの世、魂はあの世だし。

世界最高のバンドGastr del Sol

その音楽ピークはとうとうあっちの世界に踏み込んじゃいました。

アメリカーナとは関係なく、フォークロア地域性に根を張った手垢のようなものを感じさせない普遍的天国的で透徹した音楽

(などと勝手に感じてしまってるけど勿論、この国の偏った舶来文化大勢意識の中で生きている一個人独りよがりですが)

全ての曲が完璧ですが、とりわけrebecca sylvesterはこのアルバムハイライトです。

そしてGastr del Solの最高到達点…のひとつでもあると思います

why did the sharks watch him drown?(なぜ 鮫たちは彼が溺れるのを見守ったのか)」

という述懐と共に奏でられフェードアウトしていくコーダの、夜空へ飛び立つような心地よさに何度涙したことか。

the sea incertainの複雑な和音を多用した繊細なピアノつぶやきは、大友良英さんのおっしゃる「恋をしている気分」そのもの

hello spiralはポストミニマルロックノイズと結びついた、明るみに向けてグラデーションを伴いながら上昇していく、

構造的ではあるものの、光の回廊を進んでいくようにみずみずしい喜びにあふれた名曲

バランスを失うとときに過剰な禁欲性を聴き手に要求しがちなミニマリズムの厭味がありません。

孤独とメランコリーの彼方を遠目に深呼吸するよう甘やかな浮き沈みを繰り返すthe relay、

our exquisite replica of “eternity”の一部分と同様のループの中で(この形態での)最後の爪弾きと独白のような歌を終えるGrubbs…。

そしてエンディングJohn Fahey名曲に、天かけるTony Conradの純正律バイオリンと、

わずかに3(4)回ピアノ和音が雨しずくのようにそっと寄り添う雄大もの

もちろん冒頭our exquisite replica of “eternity”はコラージュにおけるGastrでのO'Rourke畢生の大作。

そしてアメリカスイススウェーデンなどから参集した数々の即興ノイズ畑の実験音楽ミュージシャンとのインタラクションは壮絶です。

これは共同的な創造プロセスの成果としても音楽史に刻まれものではないでしょうか。

中核となる二人にしろ、誰が強固に支配的であってもこの音楽は生まれなかったのは間違いありません。

聴きすぎて一通りの音が頭に入ってしまった後は(それ俺です)自分聴く環境・コンディションの変化の中でいつまでも楽しみましょ~!

GrubbsとO'Rourkeの敬愛するLuc Ferrariが言っていました。

「結局、私の最も興味があることは擦ることのようだ」

深い含蓄と汎用性のある言葉だと思います

人にもモノにも、擦り合わせることで新しい何かが生まれる興奮があるっていう事でしょうね。

さまざまな異種の要素たちが無時間的感覚で摩擦し、それらの反発や調和が要素の単なる総和をはるかに超え、躍動的・神秘的に関わり合っていくGastr del Sol作品群も、その音楽大成者に違いないと思います

ああ、こんなすばらしい音楽たちに出会えてよかった!

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