2022-12-04

いじめ対応は難しい

https://www.tokyo-np.co.jp/article/216852

こちらの記事を読んで、公立高校で働く身分として感じることをいくつか述べます。もちろんこの記事にある個別案件ではなく、いじめ問題全般に関して。

加害者側こそ別室登校になるべき」というブコメが人気を集めているけど、物事そんなに単純ではない。

いじめ問題になると、ネット上では「一発退場レッドカード」を望む人が目につく。ではここで、自分いじめの有無を裁定する側になって以下の架空の事例を読んでほしい。

~1 友達に4対1で責められた。これはいじめだ。~

3人のグループに在籍するA子は、他の2人を馬鹿にするような登校をSNS日常的に行う。見かねた2人が「もうお互いに関わるのやめよう」と申し出たところ、「これは2対1のいじめだ!」と騒ぎ、そのまま不登校へ。保護者は「他の2人が謹慎に入るまでうちの子は登校できないと言っています。確かにうちの子にも非はあるでしょうが、これは2対1のいじめです」と激おこ

~2 いつも友達無視をされる。これはいじめだ。~

自分は仲がいいと思っている友達グループが、自分に「一緒にいこう」と声をかけることな音楽や体育の授業に行ってしまう。一緒に移動する約束をしているわけではないが、そのグループが声をかけてくれなければ私が一人になることくらいわかっているはずだ。無視されている。ハブられている。これはいじめだ。

~3 いつもSNS中傷を受けている。これはいじめだ。~

自分名前は出されていないけれど、エアリプの形でいつも自分馬鹿にされている。名前が出されたことはないし、直接メンションも受けたことはない。でも、どう考えたって自分のことだし「いいね」がたくさんついているのもつらい。

いかがでしょうか。繰り返しますが、架空の事例です。いじめ対策防止推進法では「児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」といじめ定義しているので、これらはすべていじめに該当する可能性があります。事例によっては「これっていじめとして加害者側を断罪謹慎、別室登校、退学処分等)していいのか?」と不安になるものもあるでしょう。

もちろん、明らかないじめを目にすることもありますが、ほとんどは「これってそもそもいじめなのかな?」「この案件ではA子は被害者だけど、別の案件ではA子は加害者だよね?」といった具合です。学園ドラマで見るようなわかりやすいじめばかりなら「加害者一発退場」でもいいでしょうが、無数のグレーゾーンがあるなかで、明確な線引きはしづらいのが現状です。

学校に任せるからダメなんだ。いじめはすぐに警察へ。」も暴力盗難事件だったら効果的かもしれませんが、架空の事例1~3を警察に持ち込むとどんな反応をされるか、大人だったら想像がつくと思います

そんなわけでいじめ対応は難しいですね。明日からいじめの未然防止と、発生してしまった場合の懇切丁寧な対応を心がけていきたいと思います

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん