2021-10-17

チュチュアンナのトレパク騒動から考えたこ

私はある一時期、靴下デザイン仕事にしていた。

ここ数日は件のパクリ騒動のことを考えている。

パクられた作者の気持ちも、チュチュアンナデザイナー気持ち想像できるから、胸が苦しいのだ。

以下に、想像実体験を含めた考えを記す。


まずは作者の気持ち

私は靴下仕事を離れた後、別分野のデザイン仕事をしている。

詳しくは書けないが特定分野の仕事で、そこに関係が無い人はまず見ることが無いような世界だ。

その同じ世界の中で、私のデザインがパクられたのを目撃した。

気のせいだと思おうともした。しかし私のデザインはある種独特なもので、アイディアとしては思いつきにくい。

非常に悔しかったが色々な事情があったので黙っておくことにした。

今回被害者の作者も悔しかっただろう。怒っただろう。その上で抗議をし、疲弊していることだと思う。

ちゃんと抗議したこと尊敬するし、応援したい。


次に靴下デザイナー気持ちと、私の考え。

トレースダメなんて本当はわかっているはず。

似たようなことをしてきた商品が世に出る度、いつか問題にならないかとヒヤヒヤしたはず。

しかしたら同じことをやりすぎて、感覚麻痺してしまった部分もあるかもしれない。

なぜこのデザイナー達(3人らしい)がトレパクなんてことをしてしまったのか。

チュチュアンナはこの問題

コンテンツ保護知的財産に関する意識が不十分だったこと」

類似性チェックが適切でなかったこと」

としているが、それだけでは無いだろう。

問題大元を考えれば、社会問題なのであるデザイナー達は、その末端でひとつ判断ミスをしたに過ぎない。


チュチュアンナトレンドを取り入れた、旬な商品提供することに長けている。

(だからこそ同業他社チュチュアンナ商品を参考にするし、真似する。絵柄だけではなく素材や仕様を見たら、

チュチュアンナパクリなんてものは沢山存在する。もちろん、チュチュアンナ以外の他社間のパクリ合いも存在する。)

時流を読み、素早く対応している。これはイコール超短納期なのだ


パクリ商品が世に出てしまう流れはこんなところだろう。今回のポメラニアン柄を例とする。

1:商品企画方や営業から「ゆるい動物イラスト流行ってるから10種類書いてくれ。○○日から生産から、3日以内で。」と依頼される。

2:デザイナー資料を集め(又は依頼者から提供された資料を元に)イラストを描いて依頼者に見せる。

3:依頼者から「ゆるさが足りない。もっと元のイラストに近づけてほしい。生産日はズラせない。」と言われる。

4:デザインを練る時間が無く、結果的に元イラストとほぼ同じものができてしまう。

こういったことが多発しているのではないか

(因みに靴下デザイナー靴下の、繊維や編み地のプロフェッショナルであって、イラストレーターではない。

イラストを描くのが好きな人もいるが、私の周りは少数派だった。柄の修正にも本当は時間がかかる。

パジャマデザイナーでも同じようなことが言えるのではないか。)

商品を作っているのは、トレンドを捕まえるのは、デザイナーだけでは無い。

加えて、納期を決めるのはデザイナーではない。

この問題を、チュチュアンナ認識しているのだろうか。


納期になってしまうのは「流行に乗っている、売れるものを作りたい。(会社に貢献して評価されたい)」という想いからだ。

この想いの元になっているのは消費者問題だ。しかしその問題を打ち消すのは難しいだろうと考える。

マズロー欲求5段階説(書くと長いので知らない人は調べてほしい)が正しくかつ人間自然欲求なのだとすれば、

承認社会欲求を満たすことは大切なことだろう。

その欲求を満たすために、メーカー流行っているもの・かっこいいものかわいいものを作り出すのだ。


しかし、今のままで良いのだろうか。

欲求を満たすための方法は、トレンドを追うことで良いのだろうか。

消費者欲求を満たすために流行を追う限り、メーカーは作り続けるし、

メーカー流行のものを作る限り、消費者は買う。

流行というのは多数の人が求めるものであるので、大量に作らなければならない。

次の流行が来れば、余った商品は破棄されてしまう。

大量生産・大量廃棄。今、世界で目指しているサスティナブルな社会とは真逆なのだ。

その実情がある限り、短納期であったり無理を強いる仕事の仕方は変わらないし、トレパクはまた発生するかもしれない。


消費者商品を手にする時に一度社会のこと、働く人のことを考えてみてほしいと思っている。自戒を込めて。

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