2021-06-15

コロナ禍の教育格差」を直視しない“深刻すぎる”日本実態

報告書では、英国学校で広く使われているStar Assessmentsと呼ばれるReading(国語)と算数数学学習成果について、2019年11月データを用い、2020年11月時点での結果との比較を行い、学習の遅れ(ロス=損失)の推計を行っている。

過去学力調査との比較可能にするデータからこそ、このような推計ができる。

日本で同様の分析や報告が行われた形跡を、寡聞にして知らない。両国間で、全国的な規模での学校閉鎖の時期や期間がほぼ同じであったこと(ただし、新年度が何月に始まるかといった違いはある)をみれば、教育担当する行政調査機関マスコミ社会の関心度の違いのあらわれといえるだろう。

さらには、いざというときに、このような分析可能にするデータの蓄積や分析手法の開発という点での両国間の能力の違いのあらわれだということもできる。

日本で多額の税金を使ってほぼ毎年行われている全国学力・学習状況調査は変化を捉える設計で行われていない。そのために、今回のような緊急事態に直面した際に、学習の遅れを測定するためのデータとして使うこともできなかった。

学習評価専門家はそのような調査設計(項目反応理論を応用したテスト開発)を提唱してきたが、その提言に従い、異なる時点間の比較可能にするデータを構築するための方法を取り入れてこなかったのである

その結果、莫大な税金を投入してきた全国学力テストは、社会の変化に対応するための政策研究資するデータとしては、役立たずであったと言っても過言ではない。

マスク”に覆われた不平等…「コロナ禍の教育格差」を直視しない“深刻すぎる”日本実態

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83804

記事の大部分は、イギリス報告書をもとにした、休校による学びの遅れの指摘ですが、著者の主張は、「評価意思決定のためのデータを集める体制が整っていない」ということですね。Twitterでの反応が「格差社会ガー」「政治ガー」ばかりなのが残念ですが。私も、昔いた教育系の職場で項目反応理論 (IRT) を調べて、ちょっとしたプログラムとかを書いていましたが、非同期的で、個々人に合わせたアダプティブ教育が求められる今こそ、必要領域だと思います。もちろん、ちまたの「AI教材」を売っている会社はそれをやっているでしょうし、IRTよりももっとモダン理論があるかもしれませんが。

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