2020-03-29

理系女子晴子の帰還

「お疲れさまでした」と同僚に挨拶更衣室でスマホを手に取った

着信11件・・・またマスコミから取材・・・それとも・・・と考えながら着信履歴を見て晴子は凍りついた

理化学研究所から なんで!?」色々と考えてはみるが今更電話がかかってくる理由が思いつかない

駅まで歩きながら心を落ち着かせようとしたがやはり無理 当然電話をする気にもなれない

コロナのせいでお客さんも激減だし このままだと今のバイトも・・・」そう考えながら電車の中で

スマホを見ていると晴子の目にとんでもない記事が飛び込んできた

STAP細胞コロナウイルスの活動抑制する効果」着信の理由はこれなの!

電車を降り理化学研究所電話をかけると昔の同僚がすぐに応対してくれた

ニュースみたんだけどこれって」

記事の通りよ 国内ではまだ承認出てないから無理だけどアメリカではトランプ大統領

超法規的措置で既に投与が開始されててもう何百人もの患者回復してるんだって

「でも、誰が もうSTAP細胞なんて誰も」

バカティ教授がずっと単独研究を続けてたみたいなの あっちの会見で本人が経緯を説明してたわ

それを受けてこっちでもこれから会見やるのよ マスコミが押しかけてて大騒ぎなの 晴子も早く来て」

「え・・・私はいいよ また迷惑かけてもいけないし」

「何言ってるの 晴子がいなかったらマスコミが納得しないわよ

世界を救うコロナ治療発見した張本人が不在なんてあり得ないから 

からタクシー乗れば間に合うでしょ 20時開始だけど晴子が来ないと始められないよ」

「でも私は・・・」と反論する前に電話は切れてしまっていた

時刻は19時過ぎ 確かにからタクシーで行けば20時前には理化学研究所に着く

晴子は決心するとすぐにタクシーを呼び止め乗り込んだ

一体記者会見で何を言えばいいのか・・・今日のこんな服装じゃみっともないな・・・

考えが全くまとまらないままタクシー目的地へと到着した

タクシーを降りる晴子を取り囲む大勢報道

コロナウイルスの治療法が発見されたというのは本当ですか?」と記者から質問が飛び交う中で

晴子は同僚から受け取った純白の割烹着を身に纏いそして高らかに叫んだ

~完~

この物語フィクションです

登場する人物団体名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません

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