2017-01-20

年末実家に帰ったら、父(56歳)が恐らく無職になっていた。

「恐らく無職」と書いたが、本人から聞いたわけではないので本当に無職かどうかはわからない。
ではどうして父が無職になっていたなどと言い出したのかというと、母がこっそり教えてくれたからだ。
しかし、母自身も父から報告を受けたわけではないという。
父の普段生活を見ていて、仕事に行っているような素振りが一切ないため、無職になったと判断したとのことだった。
はいえ私は特に驚かなかった。母もきっと驚いてはいない。なぜなら父が無職になることは、私たち家族の中ではほぼ普通のことだから(父もそう思っているかは知らないけれど)。

父はとにかくよく無職になる。世間的にそこそこ需要のある職に就くための資格を持っているにもかかわらず、恐らくそ人間性が問題になってすぐに職を失う。
要は偉い人の気に入らないことばかりして辞めさせられてしまうのだ。多分。

ちなみに、私は父とここ15年くらい話をしておらず、今まで書いた父に関することは全て推測にすぎない。
父のことに関して「きっと」「恐らく」「多分」ばかり乱用しているのはそのためで、本人からはとにかく何も聞いていないのである

その昔、父は自分以外のものに厳しい人だった。
私が物心いたこからすでにパワーによる躾けを実践しており、食事中にテレビをちらっと見ると殴られ、
何かをこぼすと殴られ、口答えすると殴られ、父の気に入らないことをすると殴られ、
とにかくたくさん殴られた。たまに蹴られたりもしたが、基本はグーパンチ! 気に入らなければ母にもグーパンチ! それでいて家に金を入れない(大人になってから母に聞いて初めて知った)!
私は小学校卒業するころまで、大人が手を挙げるしぐさをするだけで縮こまるような子供だった。

そんな父には、いくつか決め台詞があった。その中の一つが忘れもしない、「一番金を稼いでいる俺が一番偉いのだから、俺に意見するならバイトでもして俺より金を稼げるようになれ」である
この台詞正当性は置いておいて、まず間違いなく小学生に言う台詞ではない。
これを言われてしまったら最後、私は父に自分の考えを何も言えなくなり、ただ殴られる肉人形となってしま魔法言葉だった。

そんな父も、今や無職。私は父に言われてきた魔法言葉鵜呑みにして、たくさんお金を稼げる人間になった。
でも、父に対して意見するなら私より金を稼いで来いなんて思わない。そんなことを家族に言える人間気持ちが、父と立場が逆転した今でも全然理解できない

年末実家に帰ったら、父(56歳)が恐らく無職になっていて、別にかわいそうとも、ざまあみろとも思わなかった。
ただあの魔法言葉は、私だけではなく間違いなく父にも影響を及ぼしていているんだなということをなんとなく思った。そんな年末だった。

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