「ごめんください」
「何や今時分、おお、お前か。まあ上がり」
「どっちの足から上がりましょ」
「お前と掛け合いで落語やる気はない。早よ、上がれ」
「へへへ。ほな失礼します」
「失礼は毎度のことやんけ」
「何です」
「いやいや。ほんで何やねん」
「ほおん、なるほど。で、その心は」
「別に謎かけやないんですが、まあ、しんどいちうことと、ええ歳していつまでもこんな仕事してたらあかんなあと思いまして」
「せやなあ、今年は蟹の水揚げが不調やしな」
「いったい何なんですか、ぼくの職業は。多喜二ですか」
「軽い冗談や」
「まあ、ほんまにそれくらい厳しい労働条件ですけどね。いっそアカになったろか思いますよ」
「ほな、俺、公安ね」
「なんで今からごっこ遊びせなあきませんねん」
「せやから軽い冗談や、言うてるやろ。で、辞めてどうするねん」
「何やて」
「ほら、ぼく、ワードやエクセル使うの得意ですやん」
「ワード……、エクセル……」
「何ですか」
「お前、キーパンチャーにでもなるつもりか」
「何ですか、そのキーパンチャーて」
「それはやな、君」
「なんでいきなり噺家口調になるんですか」
「シーモンキー。滅茶滅茶遠いし」
「とにかく俺が言いたいのはやな、お前ほんまにワードやらエクセルやら云々でコンピュータ関係の仕事に就けると思てるんか、ちうこっちゃ」
「ああ、判りました。いつもの口癖ですね。プログラム作れん奴はコンピュータ触るな、とか、ユニックス判らん奴はネットに出てくるな、とか」
「まあ、そういうこっちゃ」
「でも、コンピュータ関係の仕事には絶対にプログラムの知識が必要なんですか」
「んー、そういうこともなかろうけどな。まあでも、ソース読めへんSEとか管理者っちうのはちょっとぞっとするわなあ」
「実はね、そうやろうと思ってぼく最近プログラムの勉強してますねん」
「ほほう」
「あっ、いきなり薄笑い浮かべてますやん。滅っ茶馬鹿にしてるでしょ」
「C言語です」
「くくく」
「あっ。腹立つ、このおっさん」
「くくく。まあ、しっかり頑張りたまえよ」
「何か悔しいなあ」
「で、どないして勉強してるねん」
「へへへ。ちゃんと例のやつ買ったんですよ」
「例のやつて何やねん」
「いつも言うてはるやないですか。バイブルやて。R&Bですよ、R&B」
「R&B」
「そうです」
「K&Rやろが」
「そうそう。そうとも言う」
「そうとしか言わんちうねん」
「今どれくらいまで進んでるねん」
「それ、滅茶苦茶初めのほうやんけ」
「お前、パール書けたっけ」
「えっ。あれって自作やったんか」
「ちゃいますけど、ちゃあんとタイトル書き換えて使ってますやん」
「……」
「頭抱えてどないしはったんですか」
「そうです」
「お前な、何かをものすごく誤解してるか、世間をものすごく舐めてるかのどっちかやな」
「えへへ。そうかな」
「あかんわ。褒められたと思とる」
「C言語覚えたら次はシーインクリメントですわ」
「なんやて」
「シーインクリメント」
「そうです。何か変ですか」
「まあ『++』は確かにインクリメント演算子やけどな。普通はCプラプラって言うやろ」
「変ですやん、そっちの方が。大のおとなが『ぷらぷら、ぷらぷら』言うて」
「確かに宮沢章夫もそう書いてたけどな」
「お前なあ、自覚ないやろけど、それはものすごく難しい質問やで。一言で、て」
「けち臭いこと言わんと教えてくださいよ」
「またまたあ、わざとややこしい言い方して煙に巻こうとしてるでしょ」
「むかむかむか。そしたら言うたるわい。C++ちうのはやな、要はクラスの概念を実装したもんで、クラスちうのはインスタンスをうんたらかんたらで、継承とオーバーライドがこーたらで、ポリモーフィズムがなんたらで、隠蔽がどーたらで、うらうらー」
「……」
「……」
「はあっ。はあっ。どうや、参ったか」
「うーん。何かよう判りませんわ」
「なんか難しそうやから、C++やめて次はJavaにしますわ」
「ぎゃふん」
それ聞かとはまた懐かしい。 無断転載は感心せんが。
なんでこんなにイラっとくるんだろう。 内容の頭の悪さ(2人とも)に関西弁が合わさってイライラを増幅してる気がする。 普通の関西弁は別になんとも思わないけど、馬鹿の関西弁は...
この人、人生たのしくなさそう あと口臭そう
うははw まったくもってそのとおりだなw
関西の方ですか?