別れて半年が経った。
付き合いはじめて11年目だった。
中学の卒業あたりから、今では向こうは社会人2年目、自分は博士課程の院生。
端的に言って、向こうは結婚したくて、
こっちはまだ自分がどこまでやれるのか確かめたくて、という理由で別れた。
親もどれくらい持つか分からない状態だから、と結婚を譲れないのもやむを得ないと思う。
自分はやりたいことをやりとげたい、それは譲れなかった。
きっと、これを読んだだけなら「結婚すればいいじゃないか」と思うんだろうし、
実際これだけが問題だったなら結婚して、難しくても何とかやろうとしていたと自分でも思う。
付き合った10年間が、普通に楽しく過ごしたりけんかしたり、笑ったり泣いたりする日々だったなら、
11年目を迎える前に結婚していたか、せめて婚約でもしてたろう。
そもそも10年間、別れることなくずっと付き合っていたわけじゃない。
中学を卒業して、違う高校に通うようになったら、だいたいのカップルは別れるものだろう。
それが、元々同じ高校を受験して、向こうだけ落ちた結果、違う高校に通うことになって、
しかも落ちた理由が、障害認定されていた持病のせいだったと知ったせいで、
「自分が支えになってやらねば」という正義感に駆られて、よく分からない努力をしていた。
毎日毎日一緒に帰ろうと、1時間以上も向こうの帰りを待って、20分もかからない残りの帰り道を帰った。
それを半年くらい続けているうちに、向こうも待たせるのに馴れて、こっちも待つのに飽きてよくけんかした。
帰り道にけんかして、仲直りしないままおたがい家に帰って、帰ってから夜明けまでけんかし続けて、
けんかするのに疲れはてて、なぜか仲直りして、寝て、起きて、やっぱり不満が残っていて、けんかして。
そういう繰り返しのなかで、「別れる」という最後の切り札をどっちかが言い出して、売り言葉に買い言葉で、相手が同意した。
もうよく覚えていないけど最初は一応ちゃんと別れたんだと思う。
たぶん次の日には、やっぱり付き合いなおそうと言っていたような気がしてきたが、つまりそういうことだ。
途中から「別れる」という最後の切り札を簡単に持ち出すようになってしまった。
そして、簡単に付き合い直してしまっていた。
実際、何回別れて付き合い直したのか分からない。
けんかはひどくなる一方で、飛び交う言葉も精神的に参るようなものになっていった。
恋人に一番言っちゃいけないこと、相手が自分を信じられなくさせる言葉、それが最も傷つく。
向こうは女子校で、こっちは共学だったことを盾に、自分がちょっとチヤホヤされているなんて言ったこともあった気がする。
お互いに相当にズタボロになって、高校2年か3年のころには、絶縁状態で数ヶ月経つこともあった。
絶縁状態が続くうちに、寂しさに負けたのか、それともやっぱり好きだったのか、連絡をとるようになって、結局付き合い直した。
四六時中、けんかして憎しみあっていたから、絶縁してせいせいしていたはずなのに、そのうち懲りずに付き合い直しているのだから。
絶縁状態のうちに、向こうが中学のころの友達と付き合っていたと聞いたときは、かなり狂いそうになった。
もうその頃には、好きと憎しみがない交ぜになった感情で付き合っていた気がする。
自分も自分で、同じ高校の子とメールしたりしてたんだから、正直、お互いにクソだったんだが、
そういうメールが唯一の救いみたいな感じになってたのだから、どうしようもない。
別れようとして、別れられなくなっていった。
そんな愚かな高校時代を終えて、大して勉強に実が入らずに迎えた大学受験におたがい当然のごとく失敗し、浪人した。
このころのことはよく覚えていない。
完全に絶縁状態だったような気がする。
勉強ばかりして、そこそこの大学に入って、そこそこの大学生活の1年目を送った。
その間、他のひとと付き合ったりしたが、どうも付き合うという感じが分からなくなって、数ヶ月ももたずに別れた。
結局は向こうと連絡をとり、復縁した。
聞きたくもないのに聞かされたことだけ覚えている。
お互いの大学も全く近くなく、しかし辛うじて通える距離の大学に通っていたせいで、結局すれ違いばかりだった。
案の定、また絶縁した。
読んでいるひとがいたら、たぶんもううんざりしているだろうが、数ヶ月のうちに復縁し、数ヶ月ほど付き合い、別れ、を繰り返した。
出来ることならば、一度で良いからふたりで幸せな毎日を送りたいと何度願って、やり直そうとしたか。
書いてて飽きてきた。