はてなキーワード: さくらのうたとは
そのとき、毎月10人以上辞めていくようなブラック企業で働いていました。
毎日、自分を全否定されるようなことを言われながら、それでも頑張って結果を出そうとしていました。
やることが多すぎて抱えきれないのに、いつも上司が意味不明なことばかり言うので、頭がおかしくなっていたんだと思います。
視野がめちゃくちゃ狭くなって、食べることだけが楽しみになっていました。
あるとき、終電で帰って、たまたま駅の近くのラーメン屋に入って、ラーメンが来るのを待っていました。
その間に、有線から高橋優の「さくらのうた」が流れてきました。
歌詞とメロディーから、てっきり恋人との別れの曲だと思っていたんですね。
だから「何でこんなときにこんな悲しい歌を聞かなきゃいけないんだ」と思いながら、黙々とラーメンを食べていました。
帰り道、「わたしは何でこんなに頑張っているんだろう」とものすごい虚しくなっていました。
何も報われなくて、自分を好きになれなくて。
結果を出しても認めようとしない会社なんて、誰も好きになれるわけがないんですよね。
なぜ求められるばかりなのか。
何も与えてくれないじゃない。
「さくらのうた」の歌詞を覚えていたので、家に帰ってYouTubeで高橋優のことを調べていたら、「明日はきっといい日になる」とか「福笑い」もこの人だったのかと知りました。
テレビを見る時間がないから、雑誌やインターネットのインタビューを読んで、「いい曲作るなぁ」と感動して。
好きな声で、好きな曲で、過去の曲も聞いているうちに、少しずつ生きる希望が湧いてきました。
音楽がこんなに染みたのは初めてでした。
それから会社を辞め、既婚者の彼とも決別し、新しい道を歩き始めました。
プライベートの時間がとれるようになったので、ライブに行ったり、登山をしたり。
ブラック企業で働く女性は自分を好きになれないから、なかなか何かを好きになるのは難しいです。