2024-08-08

清潔感の話

清潔感という言葉で、浮かぶ人が一人いる。

彼は生まれつき片腕がない人だった。

彼はバイトによく面接で落とされていた。

受かったとしても、身なりが汚いという理由で表や裏で小言を言われることが多いと言っていた。

多分、小言というのは、彼なりにマイルドにした言葉だろう。彼はあまり文句や陰口を言うのを嫌う人でもあった。

制服ボタンなので、よくボタンが外れていることがあった。当たり前だけど、片腕でボタンをつけるのは大変なのだ

片手だけで使いやすい髭剃りを一緒に買いに行ったことがある。

手で髭剃り跡を確かめることが大変なので、本当に綺麗に剃れるものを見つけたときは喜んでいた。

体のバランスをとるために腰が横に曲がっているように見えるときがあった。

服を買って、一緒に鏡で見たとき、似合わないなあ、カッコ悪いなあと笑っていた。

便器を使いやすいように、ズボンを買うたびに100均マジックテープを買って取り付けていた。

一時期一緒に暮らしたことがある。

彼は早起きで、身なりを整えるために、時間をかけていた。

接客業あきらめていた。

ギョッとするじゃんって言っていた。

面接ときスーツを選ぶのを苦労していた。

高くついちゃったって言っていた。

面接試験会場はバリアフリーだけど、スーツバリアフリーないんだよなって笑っていた。

今どうしているかよくは知らない。

元気でいるということは聞いている。

結局志望の会社には入れなかったけど、出張の多い技術職に就いている。

本当は一度、バイトでもいいかアパレル店員をしてみたかったと言っていた。




恋愛関連で清潔感を話すのはいいとは言わないけど、まあ自然だよねとは思う。

ただ、普通生活で語るとき、気を付けてほしいなとも思う。

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