小イワシという体調8センチほどの小魚は、私の幼少期からの家庭料理の一部であった。母はこの小イワシを手開きにし、丁寧に洗い、水気を切った後、容器に入れる。醤油を惜しみなく注ぎ、みりんを少々加え、さらにすりおろしたにんにくを混ぜる。そして、ラップをかぶせ、冷蔵庫で数時間漬け込む。こうして出来上がった一品は、まさにご飯の最高のおかずとなるのだ。
母がどこでこのレシピを学んだのかは分からない。地元のスーパーには、「刺身用」と書かれたシールが貼られた生の小イワシのパックが並んでいた。おそらく、地域料理の一部ではあるのだろう。
しかし、10年ほど前にアニサキスがメディアで大きく取り上げられて以来、「刺身用」のシールが貼られた小イワシのパックは姿を消してしまった。それでも、スーパーの魚売り場では小イワシのパックが販売され続けている。私はイワシの目を見てその鮮度を見極め、自己責任で購入し、調理を続けている。
この行為は、宮崎の主婦たちが鳥刺しを作るためにスーパーで鶏むね肉を吟味する姿と重なる。私はテレビでその光景を見たとき、同じような気持ちを抱いた。安全重視で規制されようとも、地元の美味さを味わうために、これからも小イワシを選び続けるだろう。
イワシは焼けよ 焼かないと危険だぞ
生の鰯にやられるなんて雑魚(ざこ、じゃこ)じゃん