俺はそのことに幸せを感じるんだ
その仕事についたことを滅茶苦茶後悔していたのだが、数年前に夢の中で俺がこの事に気づかせてくれた。
たとえば俺がやっていたのが怪しい化粧品やソフトを売るしょーもない会社の営業だったなら、俺はさっさと従業員を扇動してその会社を潰してしまった方が良かったんだろう。
でもそういう仕事じゃない。
間違いなくクソだけど、今の形の社会から無くすことが出来ない仕事だ。
同じ業界に居る皆がそのクソさに苦しんでいるけど、社会のヒエラルキー構造の中で富の奪い合いをした際に業界丸ごとボロクソに負けているから仕方がない。
この待遇じゃやってられないと皆が匙を投げたとき、世界はただ音もなく崩れていくだけだろう。
誰かがやる必要がある。
その誰かを選ぶ手段が就活という椅子取りゲームだというのが最高にクソなわけだが、俺はとりあえずそういう仕事についた。
この仕事は本当にクソだ。
やっているだけで自尊心が崩れていく。
こんなことを誰かがしないと世界が維持できないなんておかしいだろと叫びたくなるけど、無くなったあとの世界を想像するとそこには地獄しか無かった。
だから俺はこの仕事を自分がやっていることに少しだけ誇りを持っている。
こんな仕事をする羽目になった自分の人生は呪っているし、椅子取りゲームでここまで負けが込むような努力しかしてこなかった学生時代の自分のことは心底恨んでいる。
でも俺が今この仕事をしていることで、誰かが椅子取りゲームの果てにこんな事をせずに済んだのだからと諦めようと最近は頑張ってる。
頑張ってるんだ。
自分を騙してるだけなのかもしれないけど、それで騙されてくれないなら自分はもうドンドン壊れていくって分かってるから。
これはもう俺が始めた俺による俺のための俺だけのカルトなんだ。