ましてそのポジションがいわゆる「第6の戦士枠(特殊枠なので優遇されて「もう全部アイツ一人でいいのでは……」になりやすい)」というのは……。
あの作品のテーマは「女子も正義の元に暴力を振るってスカっとしたい」だったわけだが、それは同時に「男による暴力を介し初めて救われる世界に生きる女子の苦しみ」に対するアンチテーゼもあったわけだよ。
今はだいぶ薄まったが100年ぐらい前までこの世界には「男が暴力によって女を守ってやって始めてこの「世界」(地球全体というよりも村・国単位の「世界」)は安定しているんだ。女は男の暴力にいつも感謝せえよ」って価値観が飛び交っていた。
今でもそれは老人たちの間では根強く、老婆は「お爺ちゃん達のたくましさによって日本は復興した」みたいなことを言うしジジイ共は「俺達オスが♂としての使命を果たしたから日本は残ってるんじゃけえガッハッハッ。女の子にはこんなことできんやろ?」みたいに語りがち。
この「男の暴力こそが、「日常」が維持される大前提」という価値観をふっとばすべく「女だって暴力できらぁ!正義の味方が女だけの世界を成立させてやる!」って価値観で産まれたシリーズなわけじゃん。
そこを自分から壊していって「男の暴力によって守られる女子供」を出すのは自滅としか思えない。
「しょうがねえなあ……男は正義の味方に変身できねえ雑魚しかいないけど守ってやるよ……」って態度さえ取れる作品がスケベなオタク向けの作品以外にもあっていいだろ!って立ち位置が強みだったわけ。
他の作品がどこかで「女は守られる雑魚。男は強いから女は殴らない。女が泣いてたら他の男をぶん殴って助ける。男の方が強くて偉いから」って価値観を振りまいてることに対してのカウンターとして「男は守られる雑魚(以下略」って作品を児童向け作品の中にも存在させてきたことに意味があるんじゃん。
なんで男に女を守らせてしまうんだ?
そうじゃないだろ?
この迷走は致命的だけど。
少なくともあの男の子も変身したら、美少女になるべきだった。