コロナ陰謀論というと、右派のものが目立つが、左派の陰謀論もなかなかひどい。
「政権は感染者数を少なくみせるためにPCR検査をやりたがらない」という陰謀論は、昨年の3月頃見た時には多くの左派の社会学者や弁護士などがはまってて、その時はまあ後で黒歴史になるんだろうなという程度だったが、この陰謀論が現在もしぶとく続いていて、あげくに立憲民主党や共産党はこの陰謀論を真に受けて、「ワクチンの前にまず徹底検査を」などと言っているから、もう笑いごとじゃない。自分は割とコアな立民支持者だけど、専門家や官僚を詰問する姿が目立つコロナ以降の振る舞いは、残念きわまりない。
PCR検査拡大派が既に陰謀論者であるのは、「なぜこんな単純なことが」「どうして当たり前のことを」など、世界で共通の陰謀論者のテンプレ論法を乱用していることからを理解できる。陰謀論者は「単純」「当たり前」から入り、その「単純」「当たり前」のことをしない理由を、リソースやキャパシティの限界ではなく、権力者の謀略や保身行動で解釈しようとする。そして、人間の行動が常に特定のイデオロギーや利益のために首尾一貫しているかのような想定をする。頭が悪いのではなく、頭が良すぎるのだ。現場はそんな陰謀を考えているほど、頭も良くないしそんな余裕もない、その日その日で必死に頑張っているだけ、という当たり前の想像力が働かない。