自分は頭の出来が周りより多少良かった。
物心ついた頃には父親はおらず、親族には大学に進学したものなど1人もいないような家庭で育ちながら、不思議と学校の成績は特段の努力もなくトップ層にいられた。
自分の能力を信じて疑わなかったので、そこらの大学に甘んじることを潔しとせず、地方で一番の、予備校やなんかでデカデカと合格者数を載せるような大学に行くことにした。
結局まともに勉強などしてこなかったツケを浪人で払うことになったが、辛くも合格し地元を離れた。
苦労して大学に入ってみても、やはり素の能力だけで言えば、誇張でもなんでもなく大抵の学生より自分の方が優れていると感じた。
期日までにレポートを出すこと、試験日には試験範囲の内容を記憶し時間内に解ける程度まで問題を解き慣れておくこと、これがどうしても出来なかった。
小中高と一般的な学生であれば当然身に着けてきたであろう習慣が、スペックだけでゴリ押ししてきた自分には備わっていなかった。
就活は奮わなかった。
何より、人事という人種に不遜な態度を取られることが我慢ならなかった。
大学推薦を使って落ちた後は、志望動機を聞かれない企業を選んでさっさと切り上げた。
まともに人と関わってきていないので、対人スキル、特に指示を与えて人を動かすスキルは劣悪である。
道端でKKOに出くわしたら優しくしてあげたい。
転職したら?
わかるー。努力も計画性もなしに勉強のポテンシャルだけで高学歴になった結果、高いプライドだけが残っちまった。