うちの会社は未だに朝礼があるし、その上5分間スピーチ的なものもある。
昨日のスピーチの担当は、後輩だった。彼女は、今日は3月11日ですね、と前置きをして、震災の話をします、と口火を切った。私は10年前はもう働いていて、この会社で被災したんだよな、とか、帰宅難民になって会社で夜明かししたな、とか、情報が錯綜していたから、山形の大学にいた妹が心配で胸が張り裂けそうだったな、だとか、そんなことを思い出していた。
「私はその時イギリスに留学していて、日本時間の12日の日に震災について知りました。ものすごく驚きました。イギリスでもニュースで繰り返し地震の映像が流れていました。日本はすごいことになっているのに、私は普通に大学に行っているのが不思議で、でも日本にいたらあの中にいたんだなと思ったら怖くて。同級生がそんな私を慰めてくれました。絆を感じました」
彼女は可愛らしい声で、五分間そんな話をしていた。あまりの温度差に、私はギョッとしてしまった。
私の会社は東京にあって、朝礼に出ていた人たちはみんな被災者だ。東京は震度5、津波の被害はなし。それでも、主任の家は千葉にあって最寄駅が液状化したと言っていたし、私たちは計画停電の中で、震えながら仕事をした。私は家に帰って、蝋燭に火をつけて生活していた。そういう思い出がまだ生々しく残る中で、被災していない彼女が「地震を遠くで見て怖かった覚えがある」と平気で話しているのを、私は呆然としてみていた。
「今でも、あの日のことは忘れられません」
彼女はいい話をしたかのような顔をして、話をまとめた。いつもはスピーチ後に、おざなりではあるが拍手が起きるのに、誰も拍手しなかった。部長が困った顔で、
とだけ言った。彼女は神妙な面持ちで、こっくり頷いていた。
その職場はちょっとおかしくね? スピーチした彼女だってその時は遠い異国で不安だっただろうに。
そんなに3月11日のスピーチが特別なら事前に然るべき人に担当を回しておけばよかったね。 ぶっちゃけ311も普段通りローテーションでやればいいねって扱いだったんじゃない?御社。
イギリスのテレビで、東洋の一小国に過ぎない日本がニュースに取り上げられることがあるということにむしろ驚きました。 そんなニュース流れたって、イギリス人は、そもそも日本が...
自分たちはトーキョーで「被災した」のに、外国にいた人がいい気なもんだ、っていう批判ですか。 あんたの考えには全く理解も共感もできんな。
5分で収めるのならそのくらいでまとめるしかないだろ