私は熊本に実家があって、東京に暮らしている。熊本が好きなので、一定親しくしている同僚や友人には私が熊本出身であることを伝えている。ありがたいことにみんな私の出身地を覚えてくれているので、ちらほらといろいろな人から「熊本大丈夫?」と連絡がくる。私はありがたいと思いつつ、質問してくれた方は何を知りたいのだろうかと考えてしまう。
冷静に考えてみれば分かるはずですが、私(=実家が熊本にあるだけの一個人)の口から言えることは大きく2つしかありません。
「私の実家(及び地域)は大丈夫 or 大丈夫ではない」 ≒ 私個人の状況
「人吉/八代などをはじめとして、土砂崩れや川の氾濫で影響を受けているところが多いので大丈夫とは言い難い」 ≒ 熊本全体の状況
これだけです。前者は個人的な話と周辺地域に関することなので、私の口からしか聞けないことになります。後者は私もニュースで出ていることだけしか基本的に分かりません。私が答えることができる情報について、もう少し掘り下げることにする。
まず前者について私の実家の安否を話す場合ですが、今回私の実家は幸い無事だったので「大丈夫でした」と回答できますが、仮に人吉や八代などの被害が大きい地域に実家があって水没してしまった場合「水没しました」と回答すればよいのでしょうか。また身内に不幸があった場合、どう回答したらよいのでしょうか。本当にこの人は私の家に不幸があったとして、それを知りたいのだろうか。少なくとも、私は他人の実家に不幸があったとして、知りたいとは思いません(あくまでも能動的に他人のセンシティブなことを知りたいとは思わないという話)。
ちなみに「大丈夫でした」と言うと、「良かったですね」という反応が返ってくることが多いです。確かに私個人と私の実家に関しては「良かった」のかもしれませんが、実際に甚大な被害が出ている地域があるため、手放しで「良かった」とは言えないのが正直なところです。少し想像力を働かせれば、私の友人や知人などが巻き込まれている可能性だってあります。その場合、私個人としては「良かった」なんて口が裂けても言えません。
次に後者の熊本全体の状況を知りたい場合ですが、これはニュースになっていることがほぼすべてです。東京に住んでいる以上、熊本の詳細なニュースは余程熱心に自分から取りに行かない限り入手できません。そのため、質問した方が熊本の状況を本当に知りたいのであれば、自分でニュース検索してほしいと考えているところ。つまり、この意図で私に質問しているとしたら、熊本について大した興味はないけれど、ニュースで話題だからなんとなく聞いておこう、くらいの気持ちなのだなと私は解釈している。
あるいは熊本出身だからこそ、詳細に詳しいことを知ってる可能性があり、そこに期待して+αの情報を引き出そうとしている可能性もありますが、そうだとしたらもう少し違う聞き方をしてくると思いますし、現時点でそういったことを聞こうとしてきた方はいません。
ここまで私が答えられることを書いてきたわけですが、やはり私は私に「熊本大丈夫?」と聞いて何を知りたいのかが分かりません。とりあえず、災害があった地域出身だから、話のタネとして聞きたいんでしょうか。それにしては、かなり重い空気になる可能性があるので、一般には避けた方がよい話題のように感じます。
でもキモ