高校を卒業してから服屋に行く服がないので購入はすべてネットだった。
zozoもよく利用した。俺はネットがあれば何でも出来ると思った。
・話しかけてくる
・いらっしゃいませーと言いながら舐め回すようにみてくる
・話しかけてくる
・試着室の前で待機してくる
・話しかけてくる
・監視されている
・話しかけてくる
・監視されている
・話しかけてくる
・監視されている
先週末、洗濯物を忘れ、しかもワイシャツや靴下が一組もない状況に陥った給料日前日。
ネットで注文している暇はない。
仕方がないので近場にあるユニクロに赴くことになった。
監視されたくないので10分で全てを終わらせる予定で入った。試着しなくてもネットで注文するサイズを基準に買えばいい。ワイシャツなんて別に少々ピチピチやブカブカでも問題ないはずだ。
開幕ワイシャツのコーナーに赴く。
値段をみると1枚1990円とか書いてあって「この安さは監視されているな」と思った。
周りをキョロキョロ見回し何枚か選んで籠に入れる。
キョロキョロ見回すとTシャツのコーナーにポケモンコラボのTシャツが並んでいる事に気がついた。
しかも大体ポケモンコラボっていうとピカチュウ、リザードン、ミュウツー、その当時の御三家や伝説という感じなのにゲンガーやカビゴン、ギャラドスと「人気はあるけどテーマに沿ってないとピックアップされない」みたいなポケモンが集合していた。
俺はそれを手にとっていた。
レジで店員が商品を1点1点確認するから「このおっさん、ポケモンコラボTなんて買ってるw」と思われるのが嫌だった。
でも天下のユニクロ。
籠を装置の中にぶっこんだら「4点です」という案内と共に店員が寄ってきて「点数確認しますね」と枚数を数えただけだった。
俺はなにか服屋というものを誤解してたのではないだろうか。
アニメとかTwitterの話とかを鵜呑みにしていたわけではない。
自分にとって服屋は本当に怖い場所の一つだった。ファッションのファの字もないから間違った作法をすると見下される、そういう場所だと思っていた。
店員達は客を選んでいるような目をしていると思ってた。いや、事実ユニクロ以外のリアル店舗に友人と入った時、その服屋はそういう目でみていた。
俺を棚からジッと見ていた。恐怖だった。大学1年生の春、少し格好の良い友人に誘われて入った服屋。あそこは自分にとってふさわしくなかった。
俺はその時のトラウマがずっと残っていたんだろう。なんか少し気が楽になった。
そしてソックスを買うのを忘れた俺は冬用ソックスを穿いている。