2020-04-09

氷河期に5流の大学を5年通ったのちにフリーターとなり、その後たまたまありついた仕事はとても自分に向いていた。毎日こんな楽しいことでお金もらえてラッキーと思っていたので、徹夜になるのも土日出勤になるのもほとんど苦にならなかった。給料は安かったけど、そもそも使う暇がなかったし、汚いジーンズを履いてマクドナルドを食べたり、チェーンの居酒屋ビールなのか発泡酒なのかよくわからない飲み物を飲んで終電を逃して歩いて帰ったりするのが、ちょっとカッコいいとさえ思っていた。

その後たまたま大きな会社転職した。初めのうちは同じように働いていた。そのうち残業に厳しくなり、思うように仕事ができなくなっていった。それでも他の人より成果を出していたので、立場も変わり、給料も上がっていった。付き合う人も変わり、チェーンの居酒屋にはまるで足を運ばなくなった。あれほど好きだった仕事は、立場が変わったことでほとんど自分で直接担当しなくなり、代わりに調整ごとや打ち合わせばかりになっていった。

今、自分マネージャーとして、いい大学を出た優秀な若者残業し過ぎないよう、いい塩梅効率的仕事をするよう指導している。Googleマップには東京の主要都市の良いお店がたくさん保存されているし、あれほど好きだったリーバイス501は、一本も持っていない。

自分は恐らくとても素敵なものに囲まれ暮らしている。その中に自分にとって大事ものが本当にひとつもないということは、きっと自分以外にはわからない。

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