こないだ吉野家に牛丼をネット注文したんだけど、いざ店舗に行くと客が一人もいないのな。
それで仕方がないから誰かいませんかー、って声かけしてみたんだけど、閑散として何も返事がない。で、おかしいなこれは事件じゃないかと思って、部屋の奥に入ると厨房の向こうにもう一店舗ある。そこに発券機がおいてあるんだけど、誰も人がいない。
発券機をよく見るとこう書いてある。
「通り抜けるには左右左右AB」
コナミコマンドかよ、と思ったけど発券機のボタンと十字キーを順番に押すと、今いる部屋のガラス戸が空いて別の吉野家のテーブルが並んでるところに出たんだな。そこで俺は思った。
ちなみに今度は店員がいたんだけど、こいつがまた埒が明かない。インターネットで注文したんですけど、っていったら、うちの回線は各部屋をくまなく巡回していて、注文の発注まで四年はかかるとか。どれだけ物理的な距離が遠いんですか、と突っ込んだけど、店員は苦笑するばかり。あー、なんか俺クレーマーっぽい?でもこの状況店舗の対応のほうがおかしくない?どうやらネット注文より来店したほうが早いらしい。
俺はいくつもの店舗を越えて何階にあるのかも解らない実店舗を目指した。途中迷うだろうということで、先程の店員さんとLINEを交換したのだが、店員さんいわく、他の異次元店舗は元空間の実店舗が多重コピーされたとか。ということは、この偽店舗の数々は今なお増殖してるということ?
いろいろな質問をしながら俺は吉野家最上階(であるかも定かではない。トイレの入口が他の多重空間につながっていたこともあった)にたどり着き、ようやく注文に入った
「並一つ」
注文した牛丼は確かに届いたが、他の客もおらず、一人牛丼に箸を進める俺にふとした疑問が湧いた。この牛丼の肉はもしかして無限増殖を利用して作られてるのではないか。そこで最深部吉野家ダンジョンの店員に聞いてみると、途中同じ顔をした店員が幾人もいたでしょう、とだけポツリと呟いた。
あっぱれ💮