昔から住んでいる土地ならともかく、わたしは大学進学のため当時アパートで一人暮らしをしていたので、そもそも成人式に出席するつもりがなかった。知らない土地の成人式に一人で行っても仕方ない。当日はバイトでも入れてただの祝日を過ごそうと思っていた。
が、東北の実家からわざわざ母が上京し、一生に一度のことなんだから是非出席しろとしつこい。振り袖なんて着なくてもスーツで良いんだから、行って記念品でももらって来いとうるさく言う。耐えかねて、わたしは出かけることにした。
着て行ったのは、大学の入学式用にアウトレットモールで購入したスーツ(確か9500円)。
会場であるどこかの会館で受付葉書を出して、偉い人の話を聞く。
女性でスーツで出席しているのはわたし一人だった。華やかな装いで、友達と連れだって、さらに同窓生を見つけて叫声をあげる同い年の女の子たち。
振り袖が着たい気持ちなど一ミリもなかったが、それ以上居心地の悪さに耐えきれなかった。
「それでは、出身中学ごとに分かれてご歓談下さい」的なアナウンスがあった辺りで、いたたまれなくなって会場を出た。記念品の紅白まんじゅうとクオカード(確か1000円分)はしっかりと頂いてきた。
最近、はれのひ事件の振り返りのニュースで女の子が「わたしだけスーツで行っても惨めなだけだから成人式には出席しない!」と言いながら泣いている映像を見て、このことを思い出した。
よく行ったね偉かった。私は行かなかった。皆が着物だから自分も着る、着ないと浮くって雰囲気は下らないと思う。
元増田はよく行ったね偉かった。私は行かなかった。惨めなんてことは絶対ない。皆が着物だから自分も着る、着ないと浮くって雰囲気は下らないと思う。